この時、天皇は供としてについていく多くの官人たちに、青染めの服と赤い帯を下賜した。そして当日はこれを着ていくように命じた。
天皇が下賜した、そろいの服を官人たちが来ているさまを人民(おおみたから)に見せて、天皇の権威を示そうとしたのである。
さて、こうして天皇は官人たちを従え葛城山に登っていった。すると・・・
川を挟んで向かい岸に、同じように山に登る人たちが現れた。
それは天皇が率いる行幸の姿そっくりであった。そして彼らが来ている衣装もまったく同じ、青染めの服に赤い帯をまいているのである。
血の気の多い天皇、これを見て激怒して叫ぶ
「この日本の国に、わたし以外に君臨する統治者などいない!そこに私の行幸そのままに山を行くものは誰だ!」
すると彼らは
『この日本の国に、わたし以外に君臨する統治者などいない!そこに私の行幸そのままに山を行くものは誰だ!』
全く同じことをオウム返しに返したのである。
これを聞いた天皇、ますます激怒し、弓を出し矢をつがえた
供の官人にも矢をつがえるよう命令し、皆一斉に弓矢を構えた。
すると川向こうの行列も同じように、皆一斉に弓矢を構えたのである。
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