古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

マネするな!

 

f:id:karibatakurou:20200602123049p:plain

 

天皇はその後、再び葛城山に巡行に出ていた。

 

この時、天皇は供としてについていく多くの官人たちに、青染めの服と赤い帯を下賜した。そして当日はこれを着ていくように命じた。

天皇が下賜した、そろいの服を官人たちが来ているさまを人民(おおみたから)に見せて、天皇の権威を示そうとしたのである。

 

さて、こうして天皇は官人たちを従え葛城山に登っていった。すると・・・

 

川を挟んで向かい岸に、同じように山に登る人たちが現れた。

 

それは天皇が率いる行幸の姿そっくりであった。そして彼らが来ている衣装もまったく同じ、青染めの服に赤い帯をまいているのである。

血の気の多い天皇、これを見て激怒して叫ぶ

 

「この日本の国に、わたし以外に君臨する統治者などいない!そこに私の行幸そのままに山を行くものは誰だ!」

 

すると彼らは

『この日本の国に、わたし以外に君臨する統治者などいない!そこに私の行幸そのままに山を行くものは誰だ!』

 

全く同じことをオウム返しに返したのである。

これを聞いた天皇、ますます激怒し、弓を出し矢をつがえた

供の官人にも矢をつがえるよう命令し、皆一斉に弓矢を構えた。

 

すると川向こうの行列も同じように、皆一斉に弓矢を構えたのである。

 

前<<<  天皇も怖がりゃ木に登る - 古事記の話

次>>>  神様への献上品 - 古事記の話



古事記上巻 日本神話 目次
古事記中巻 神武天皇~応神天皇 目次
古事記下巻 仁徳天皇~推古天皇 目次



≪リンク≫
 
カリバ旅行記
温泉の話
駅弁の話
古事記ゆかりの地を訪ねて