古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

殺される兄

 

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さて、天皇がマヨワにより殺された翌朝。当然のことながら、宮中は大騒ぎとなった。

 

急を聞いて天皇の同母弟、オオハツセが駆けつけてきた。この非常事態にオオハツセは

「今後の指揮はわたしがとる!」

と宣言すると、直ちにマヨワの捜索を命じた。

既にマヨワは宮中を抜けだし逃走していた。

 

オオハツセは兄弟たちに知らせるため、馬に乗って兄のクロヒコのもとに急いだ。

「兄上!天皇が殺された!急ぎ参上してくれ!」

 

しかしクロヒコの反応は鈍かった。

彼は皇位継承から外れた身である。政権の中枢からも離れていた。天皇が殺されようが、あまり関心はなかった。

この態度に、血気盛んな少年のオオハツセは激怒する。

 

天皇であり、兄である天皇が殺されたのだぞ!それを驚きもせず、その態度は何だ!」

オオハツセはクロヒコの着物の襟をつかんで引き倒すと、太刀を抜き一瞬のうちに殺してしまった。

 

次にオオハツセは、これも兄であるシロヒコのもとに急いだ。しかしシロヒコの反応もクロヒコと同じであった。

ここでもオオハツセは激怒し、今度は襟をつかんだまま小治田まで引きずってきた。そして穴を掘って埋めてしまった。腰まで埋まったところで、シロヒコは両方の目玉が飛びだし死んでしまった。

 

そのころ、捜索隊から、マヨワは臣下のツブラの屋敷に居るとの報が入ってきた。

 

 

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允恭天皇と皇后の間には

 

5人の男児が産まれました。整理してみましょう。

 

 長男 キナシ →伊予に流され自殺

 次男 クロヒコ →オオハツセに殺される

 三男 アナホ(安康天皇)→マヨワに殺される

 四男 シロヒコ →オオハツセに殺される

 五男 オオハツセ

 

いやはや、自殺したり、継子や実弟に殺されたりと、なんとも血なまぐさい時代になってきました・・

 

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