イザナギの悲しみは、いつしか怒りに変わっていた・・・そう、愛する妻を奪った我が子、火の神・カグツチ・・・
イザナギはカグツチの前に立つと、腰に差していた剣のオハバリに手をかける・・・
カグツチは何のことかわからず、無邪気な目で父神イザナギを見上げた。しかしその動作がいくらかわいらしくても、イザナギの怒りは解けない。
ほとばしる血・・・その血から雷の神タケミカヅチが産まれる。さらに流れる血から、カグツチの遺体から岩の神、山の神、野原の神・・・次々と神が産まれてきた。
しかしカグツチを斬ったところで、イザナミは戻ってこない。イザナギの悲しみは続く。
「ああ・・・イザナミ・・・会いたい・・・」
そして、イザナギは決心する。
「ああ、ぼくはイザナミなしでは生きていけない・・・そうだ、イザナミを死者が行く黄泉の国から連れ戻そう。今から急いでいけば、まだ間に合うはずだ」
そしてイザナギは旅に出た。
出雲の国にイザナギは来ていた。ここにある黄泉比良坂(よもつひらさか)を下りれば、そこは黄泉の国、死者の住む国である。
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☆揖屋神社
イザナミは亡くなり、黄泉の国に行ってしまいました。
現世と黄泉の国との間にあるという黄泉比良坂、現在の松江市東出雲町揖屋に比定されています。近くには揖屋神社があり、イザナミを祀ってあります。
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