黄泉の国の宮殿の床に、イザナミは横たわっていた。
「ああ、イザナミ!」
わたしはイザナミに駆け寄る。しかし・・・
・・・松明の光に照らされたイザナミの姿を見たとき・・・
「うっ・・・!」
わたしは息をのんだ。
確かにそれはイザナミだった。しかし・・・
それは愛するイザナミではなかった・・・
わたしは体の底から悪寒と震えが沸き立ってくるのを感じた・・・
イザナミ・・・
そのイザナミの姿、体は腐り、眼球は飛び出て、腹は破れ腸が飛び出ている・・その体中に蛆虫が湧いてはい回っている・・・
更にイザナミの体には、小さな雷神が何匹もとりつき、わめいていた・・・
そのおぞましい姿・・・ああ、もうこれは愛するイザナミではない・・・
わたしは震えが止まらなかった。
思わず松明を落としてしまった・・・
やばい・・・恐ろしい旋律を感じる・・・
次の瞬間、わたしは踵を返し、一目散に、全速力で、宮殿の外に向かって駆けだしていた・・・
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