古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

タケミカヅチを派遣

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ここは高天原。たびたびオオクニヌシの支配する日本に使者を出し統治権を譲渡させようとするが、使者はことごとくオオクニヌシのもとに寝返って失敗してしまう。アマテラスの焦燥感たるやピークに達していた。

 

アマテラスは天の安川に八百万の神々を集めた。

「ホヒに続きワカヒコもオオクニヌシに懐柔されその使命を果たせませんでした。雉の女神ナキメまで射殺されました。

このままでは日本は永遠にオオクニヌシの血筋が支配することになってしまいます。しかし日本は私の血筋のものが統治すべき国です。

どのようにすればよいでしょうか。」

 

間髪入れずにオモイカネが発言した。

「アマテラスさま、わたくしもなるべくならオオクニヌシと争いを起こさず権力を禅譲してもらえるならと考えていたのですが、事態はそうもいかないようです。

かくなる上は戦いも辞さない覚悟でオオクニヌシのもとに使者を派遣するのがよろしいかと思います。」

 

「しかし、そこまで強い態度でオオクニヌシに迫れるような神がこの高天原に降りますでしょうか。」

 

すると、オモイカネは笑顔を見せて

「オハバリの神がおりますぞ!」と力強く言った。

オハバリは刀剣の神である。それだけに何事にも負けない押しの強さを持っていた。

 

そこで天の安川の上流に居るオハバリのもとに遣いを出し、アマテラスの神前に呼び出してオオクニヌシとの交渉を命じた。

 

「恐れ多いことでございます。アマテラスさまの意に沿うようお仕えしたいと思います。

しかしこのお役目、息子のタケミカヅチにやらせてもらえませんか」

タケミカヅチはオハバリに勝るとも劣らぬ豪胆な神としてうわさが高かった。

 

早速、アマテラスはタケミカヅチに対してオオクニヌシの交渉のために日本に降りるよう命じた。副官としてアマノトリフネも一緒に遣わすことにした。

 

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古事記の話 目次  

 

 

☆オハバリとタケミカヅチ

 

オハバリとタケミカヅチ、実は今までにも出てきています。

 

イザナミが火の神を産んで亡くなった時、イザナギは剣で火の神の首をはねました。

この時の剣がオハバリ、飛び散った血から生まれた雷の神がタケミカヅチです。

生まれからすると本来は日本の国つ神のはずですが、いつの間にか高天原の天つ神になってしまってます。

 

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