古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

逃げ出した!!

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ぐわわ~~ん!!

 

突如、大きな音がひびいた・・・

 

・・・そうだ、わたしはオオナムヂに頭のシラミ・・・いや、ムカデを取ってもらっている最中に眠り込んでしまっていた・・・それにしてもなんだ?この大きな音は?!

 

わたしはすぐに、ガバッと跳ね起きた。次の瞬間だった・・・

 

がらがら!!

どっしゃ~~ん!!

 

大音響とともに、わたしの宮殿が崩れ落ちてきたのだ!いったい何が起きたのだ?!

わたしは訳が分からなかった。

 

宮殿の崩壊とともにに舞い上がった砂煙が落ち着いてきたとき・・・わたしは気づいた・・・!

 

わたしの髪の毛に、宮殿の柱が結ばれていることを・・・

 

・・・寝ている間にわたしの髪は宮殿の柱に結び付けられてしまったのだ。わたしはそのことを知らずに跳ね起きたので、柱が引っ張られて外れ、宮殿が崩壊してしまったのだ

・・・これは・・・オオナムヂの仕業だな・・・!!

 

少しずつ、状況がわかってきた。

 

落ちついて辺りを見回すと、ひとつの小さな袋が落ちていた。袋からは、椋(むく)の実と赤土がこぼれていた。

・・・さては、オオナムヂの奴、わたしの頭のムカデを取ってると見せかけて、この椋の実をかじって赤土と混ぜて吐いていたな・・・

 

・・・これもスセリヒメの入れ知恵か・・・

 

それに最初、わたしが驚いて目を覚ましたあの音は、私が持つ天の沼琴(あめのぬごと)の音だ・・・オオナムヂとスセリヒメは琴を持ち出し、そろって逃げ出したに違いない・・・大方逃げる途中でうっかり琴が木にでも触れて大きな音が出たのだろう・・・

 

・・・琴を持ち出したということは・・・おそらくわたしの神の力を持つ生大刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)も持ち出しているだろう・・・

 

えい!こしゃくな!!

 

今まで従順だったオオナムヂにしてやられた・・・我が娘スセリヒメも一緒になってわたしのところから逃げた・・・

 

さすがアシハラシコオと見込んだわたしの子孫だ!こうも鮮やかに、スセリヒメを自分のものにしてわたしのところから逃げ出すとは・・・

 

・・・くやしさ、怒り、むなしさ・・・

・・・驚嘆、敬畏、祝福の感情・・・

 

いろんなものがこみ上げてきた・・・

 

ええい!とにかくこのまま、あの二人を逃がすわけにはいかんっ!!

わたしはすぐに追いかけるべく、髪の毛に結び付いた柱をほどき始めた・・・

  

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