さて、オオナムヂを蛇の室屋に閉じ込めた、翌朝。
さあ、オオナムヂどんな顔をして起きてくるだろうか、まあ奴のことだから死ぬことはなかろうが、蛇に囲まれて一睡もできなかっただろう・・・
「おーい、スセリ!オオナムヂをここに連れてきなさい」
一刻後、スセリヒメに連れられてオオナムヂが入ってきた。
「スサノオ様!おはようございます!」
・・・なんだ?嫌に元気いいな・・・
「おう、オオナムヂ!!どうだ、客間は?いい部屋だったろう!!」
「はい、スサノオ様!おかげでゆっくり眠れました。ありがとうございました」
・・・わたしは、じっとオオナムヂを見つめた。
顔色はよく、つやつやしている。
皮肉で行ってるようには思えない。どうやら本当によく寝たようだ。
・・・一体、どうやってあの、毒蛇たちの大群を乗り切ったのか・・・
「そうか・・・それはよかったな・・・
今日は一日、この宮殿でゆっくり過ごすがよいぞ」
そういって、わたしはスセリヒメに、オオナムヂを宮殿の一室に案内させた。
さて、その夜・・・
わたしはオオナムヂを、宮殿の別の部屋に連れて行った。
「ここが今夜、お前が寝る部屋だ。入れ!」
オオナムヂがその部屋に入った後、わたしは昨夜と同ように外から閂をかけた。
さあ、今夜は、オオナムヂは乗り切ることができるだろうか。
オオナムヂを閉じ込めたその部屋は「蜂と百足の室屋」なのだ。
部屋の中には毒針を持った蜂が無数に飛び回り、床には猛毒を持った百足が這いまわっている。
さあ、オオナムヂはここで一晩、どうやって過ごすことができるだろうか・・・もしこれがを乗り越えることができたら、奴は本物だ!
そのとき・・・
わたしはスセリヒメのすがたが目に留まった。宮殿の外に出ていくようだ。いったいどこに行くのだ?・・・
前<<< 客間に閉じ込める - 古事記の話
次>>> ひれ - 古事記の話
スサノオの自伝 目次
≪リンク≫
小説古事記
古事記ゆかりの地を訪ねて
カリバ旅行記
温泉の話
駅弁の話
鉄道唱歌の話