古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

兄のオオウス

ヤマトタケルの自伝 2

 

 

わたしはその日、父の天皇(すめらみこと)に呼ばれた。そしてこう言われたのだ。

 

「そなたの兄のオオウスが朝夕の食膳の席に出てこないのはどういうことだろう。朝夕の食膳は神に供える大事な儀式だというのに・・・」

 

そう、兄のオオウスは最近、宮中に出廷していなかった。

理由はわかっている。オオウスは父の天皇と顔を合わせるのが気まずいのだ。

 

天皇は美濃の国造の娘、エヒメ・オトヒメの姉妹が絶世の美人という話を聞き、自分の妃にすべくオオウスを使いにやった。しかしこともあろうにオオウスはこの姉妹を自分の妃にしてしまったのだ。

オオウスは天皇のもとに、美濃のエヒメ・オトヒメと偽って、背格好のよく似た姉妹を探し出しておくった。大方貧しい家の娘を言いくるめたのだろう。

むろん、そんなことはすぐに露見する。

 

オオウスの行ったことが宮中に広まると、オオウスは宮中に出廷しなくなってしまったのだ。

 

父の天皇は続けて仰せになる

「オオウスがやったことはともかく、皇族としての務めは果たさなければならない・・・オウス、お前はオオウスのもとに行き、ねぎ教え諭しなさい(丁寧に教え諭しなさい)」

 

「はい、かしこまりました、父上!」

わたしは元気よく返事をすると、その足で兄オオウスの屋敷に向かったのだった。

 

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ヤマトタケルの自伝 目次

 

 

 

景行天皇

 

古事記には景行天皇の直接の事績はほとんど載っておらず、ヤマトタケルの遠征の話が中心となっています。日本書紀では自ら軍を率いて九州平定を行っています。

名は古事記では「大帯日子淤斯呂和気命」(おおたらしひこおしろわけのみこと)、日本書記では「大足彦忍代別天皇」(おおたらしひこおしろわけのすめらみこと)。父は第11代垂仁天皇、母は前章で兄とともに焼死したサホビメが、後の后として指名したヒバスヒメです。

 

宮は纏向日代宮(まきむくのひしろのみや)に置きました。現在の奈良県桜井市穴師とされています。

御陵は奈良県天理市渋谷町の山辺道上陵(やまのべのみちのえのみささぎ)とされています。

 

NARABURA 纏向日代宮伝承地

新陵墓探訪記 山辺道上陵

 

 

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