蜂とムカデの部屋に閉じ込められた翌朝、昨日と同じくスセリヒメが迎えに来てくれた。
「オオナムヂさま、おはようございます」
「やあ、おはよう、スセリヒメ。昨日も助かったよ」
「すみません、父上が・・・」
「いや、いいよ。わかっているよ、お父上の御心は・・」
そんな会話をしながら、私はスセリヒメに連れられて今日もスサノオさまのもとに来た。
そう、スサノオさまの御心・・・私を試しているのだ・・・
スサノオさまはこのわたしが、自分が支援するにふさわしい神なのか試しているに違いない・・・
しかし蛇だの蜂だのムカデだの・・できれば勘弁してほしいもんだ・・・
スセリヒメは宮殿の一室にわたしを連れてきた。そこにはまたスサノオさまが背中を向けて座っていた。
この宮殿での生活に少し慣れてきたわたしは、自分から声をかけた
「スサノオさま、おはようございます。今日もいい朝ですね。おかげさまでゆっくり眠れました」
その声に、スサノオさまはゆっくり振り返る・・・
そしてわたしを見つめる・・・あたかも私の心の中を読み取るように・・・
そして、ふっと笑みを漏らす・・・その笑みが何を意味するのか、私にはわからない・・・
「そうか、よく眠れたか。よかったな」
そういうと、またスサノオさまは、向こうを向いてしまわれた。
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