野見宿祢の自伝 7
陛下は自ら皇軍を率いてサホビコの屋敷まで進軍された。わたしも陛下のおそばについて馬を進めていった。
サホビコの屋敷まで進軍すると、皇軍はぐるりと屋敷を取り囲む。屋敷はうずたかく稲束が積み上げられて固く守られている。
そして屋敷の中には、陛下の后であるサホビメさまがいるのだ。陛下はサホビメさまをとても寵愛していらっしゃる。
なので屋敷を取り囲みはしたが、陛下は攻撃をかけることは躊躇されていた。しばらくそのまま時が過ぎた。
そんな時、サホビコの屋敷に潜入している密偵から報告が入ってきた。
「サホビメさまはご懐妊されています」
その報に陛下は驚かれたようだ。
「なに、懐妊!・・・余の子か?!」
「はい、左様でございます。サホビメさまのご懐妊を知ったサホビコは、サホビメさまを屋敷の外に出して陛下のもとに戻そうとされましたが、サホビメさまが頑として断っているとのことです」
「うう・・・む・・・」
陛下は相当お悩みになっているようだった。無理もない。
自分の愛する后だけでなく、その后の腹には自分の子までいるのだ・・・
サホビコと皇軍はにらみ合ったまま膠着状態が続いていた・・・
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