山幸彦の自伝 23
トヨタマヒメの出産に備えて、海のそばに産屋を建てることにした。
さっそくトヨタマヒメが上陸していた海岸に柱を立てていく。トヨタマヒメの出産も近い。
屋根と壁を葺いていくにあたって、陸上から萱を取ってくるより、手っ取り早く海岸で手に入る鵜の羽で葺いていくことにした。
しかし・・・
まだその産屋が完成しないうち、トヨタマヒメの子が生まれそうになった。トヨタマヒメは、まだ噴き終えていないその産屋に入っていった。
その時・・・トヨタマヒメは、そっと私に言ったのだ・・・
「海の世界のものは、子を産むときは本来は元の姿になるのでございます。それで・・・わたくしも海の世界のものでございますので、その元の姿になって子を産みます。つきましてはホオリさま・・・お願いでございます。出産時のわたしの姿を覗き見ることは、しないでいただきたいのです」
そういうと、トヨタマヒメは産屋の中に閉じこもった。
なんだ、元の姿って・・・海神の屋敷で過ごした3年間、トヨタマヒメは美しい姫だったじゃないか。あれは、仮の姿だったっていうのか・・・
一体何なんだ・・・わたしはトヨタマヒメを愛している。愛しているだけに、気になる・・・
わたしはそっと産屋に近づき、まだ葺いていない鵜の羽の隙間から、そっと中を覗いてみた。
すると、産屋の中にいたのは・・・
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☆見るな
「見るな」と言われたのに見てしまってよくない結果を招く。昔話の定番パターンですね。鶴の恩返し、ウグイス座敷、舌切り雀のつづらに浦島太郎の玉手箱、黄泉の国に行ったイザナギ、ギリシア神話のオルフェウス、パンドラの箱、などなど・・・
さて、産屋を覗いた二ニギが見たものは・・・
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