山幸彦の自伝 12
わたしが海神ワダツミの宮殿に来てから、早3年の月日がたった・・
わたしは3年の間、海神の宮殿で妻のトヨタマヒメと一緒に、何一つ不自由なく楽しく暮らしていた。
そんなある日、ふっと思い出したのだ。
私は何でここに来たのか・・・そうだ、兄ホデリの釣り針を探しに来たんだ!
そして私は思わず「ああ・・・」と声を漏らした。
その声を妻のタマヨリヒメは聞き逃さなかった。そして心配して父の海神に話したらしい。
わたしは海神に呼ばれた。
「娘から聞きました。この3年間娘と一緒に楽しく過ごされていたのに、今日初めて大きなため息をなさったと。ホオリさま、何か心配事でもおありですか?
いや、そもそも、天の御子とあろうものが、何故あってこの海の底までいらしたのでしょうか」
このように聞かれて
「はい、実は・・・」
と、わたしは海神の宮殿に来たいきさつを話したのだった。
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海神ワタツミの娘、トヨタマヒメ(豊玉毗売)。ホオリの妃になりました。
また、ホオリの父二ニギは山の神オオヤマツミの娘のコノハナサクヤヒメを妃にしています。
こうして皇室には、山のパワーと海のパワーを持った先祖の血が流れることになりました。
トヨタマヒメを主祭神とするのが鹿児島県南九州市の豊玉姫神社であり、ほかにも全国の神社で祀られています。
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