古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

山幸彦の自伝 プロローグ

山幸彦の自伝 1

 

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わたしの名はホオリ。アマテラスから続く天つ神の子孫として、日向の高千穂の宮で生まれた。

 

わたしの父はニニギ。アマテラスの孫にあたる。すなわちわたしはアマテラスの曾孫、アマテラスから数えて4代目ということになる。

父のニニギは若いころ、高天原からアマテラスの命を受けて日本統治のために日向に降臨したという。そして日向でわたしの母、コノハナサクヤヒメを見初めて、后として迎え入れたのだそうだ。

  

そんな両親から生まれたわたしは、物心ついた時から弓矢を手にしては山に分け入り、山の獲物をしとめては宮殿に持ち帰っていた。そんなわたしの姿を見た日向の民は、いつしかわたしのことを「山幸彦」と呼ぶようになっていた。

 

また、わたしには兄がいる。名はホデリ。兄はわたしとは対照的に、海に行っては大小の魚を釣っては宮殿に持ち帰っていた。そんな兄の姿を見て、日向の民はいつしか兄のことを「海幸彦」と呼ぶようになっていた。

 

ほかにホスセリという兄もいたそうだが、生まれて間もなく早逝したということだ。わたしにはホスセリの記憶はない。

 

 そして父ニニギが亡くなった後は、わたしと兄ホオリとで日本の国を共同統治していた。統治者となった後も政務の合間を縫って、兄ホオリは海に、わたしは山に、入ってはそれぞれの獲物を宮殿に持ち帰っていた。

 

そんな、ある日のことであった・・・。

 

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山幸彦の自伝

 

 

☆ホデリ・ホスセリ・ホオリ

 

いつも「古事記の話」をご覧いただきありがとうございます。今日から海幸山幸の神話を、山幸彦ことホオリの一人称で語っていこうと思います。つたない文章ですが、よろしくお願いいたします。

 

天孫ニニギは懐妊したというコノハナサクヤヒメに「そいつは不倫相手の子だろう!」と言い放ち、これにキレたコノハナサクヤヒメは「この子が天の御子の子なら無事に生まれてきます」と言って産屋に籠り、出入り口を土で塗り固めて火を放ちました。燃え盛る火の中から生まれたのがホデリ(火照命)、ホスセリ(火須勢理命)、ホオリ(火遠理命)の3兄弟です。

 

ホデリとは火が赤く照り輝くときに生まれた神、ホスセリとは火が盛りを過ぎたころに生まれた神、ホオリは火がおさまったころに生まれた神、ということを意味します。

 


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