オモイカネの自伝 33
ニニギさまがお后としてコノハナサクヤヒメさまを迎え入れた翌日、ニニギさまは巡幸先の仮宮から高千穂宮にお戻りになられました。
お后のコノハナサクヤヒメさまは仮宮に残したままでした。何分急なことだったので、旅の準備も何もできていません。
ニニギさまはお妃さまに
「近いうちに迎えに来る。待っていてくれ」
と言って、高千穂宮に戻られました。
さて、それから数か月の後。
ニニギさまはコノハナサクヤヒメさまを高千穂宮にお迎えするために、再び仮宮へ出向かれました。
ニニギさまは仮宮に入られました。わたくしは別室に控えていたコノハナサクヤヒメさまをお迎えに行きました。そしてニニギさまの前にご案内すると、お二人を残し退室いたしました。
退室したのは久しぶりに出会ったお二人なのだから、水入らずでゆっくりすごしてほしいと考えたからなのですが・・・それが裏目に出てしまいました。
突如、お二人の言いあう大きな声が聞こえました。何事かとわたくしが控室を出てみますと、コノハナサクヤヒメさまが飛び出してきました。
「あ・・・コノハナサクヤヒメさま、どちらへ?・・・」
しかしコノハナサクヤヒメさまは何も答えず、仮宮の外に飛び出したと思うと、外の小屋に閉じこもってしまいました。
わたしはニニギさまのもとに行き訪ねました。
「ニニギさま、いったい、何があったのですか?」
すると・・・
コノハナサクヤヒメさまは、ニニギさまに懐妊したことを報告されたそうです。すると、ニニギさまは喜ぶどころかお怒りになったそうです。
「お前と交わったのは一夜だけだぞ!それで子ができたというのか?!そんなはずはない。お前、それは、この土地の神の子だろう!!」と。
それを聞いたコノハナサクヤビメさまは
「ならば証明して見せましょう。この子が天の御子の子であれば、無事に生まれてきます。しかし、この土地の神の子であれば、無事に生まれることは無いでしょう!!」
と仰せになると、飛び出していったというのです。
これを聞いたわたくしは、青くなって叫びました。
「ニニギさま!のんびりしている場合ではございません!!お后さまは何をされるかわかりませんぞ!!
早く、お后さまをお迎えに行かれてください!!」
わたくしのこの言葉を聞いて、ニニギさまも事の重大さを理解したのでしょう。瞬く間にそのお顔から血の気が引き、コノハナサクヤヒメさまを追いかけて仮宮の外に走っていかれました。
その時、小屋に閉じこもったコノハナサクヤヒメさまは・・・
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