ニニギの自伝 12
翌日、わたしはコノハナサクヤヒメとイワナガヒメを迎え入れることになった。
その日の午後、二人の姉妹は、わたしが滞在している巡幸先の仮宮に入った。仮宮の一室で待機しているという。
わたしは逸る心を抑えながら、二人が待つ部屋へ向かっていった。
そこでは、すでに二人の娘が両手をつき、顔を伏せていた。二人とも緊張しているのがよくわかる。
わたしは言った。
「二人とも、そんなに緊張しなくてよい。コノハナサクヤヒメ、顔を上げるがよい。本当に来てくれたんだね、ありがとう」
その声に一人の娘が顔を上げた。昨日見た、妹のコノハナサクヤヒメだ。美しい・・・まさに満開の木のを思わせる輝きを放っていた。
コノハナサクヤヒメは
「ニニギさま、身に余る光栄、ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます」
といった。その声も美しい。木の花から吹き抜けるさわやかなそよかぜを思い起こさせるようだ・・・
わたしは
「うむ、こちらこそ、よろしくな。イワナガヒメ、そなたも顔を上げるがよい」
そういうと、イワナガヒメも顔を上げた・・・
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☆コノハナサクヤヒメ
コノハナサクヤヒメの古事記での本名は神阿多都比女(かむあたつひめ)、阿多とは鹿児島県南さつま市の地名でコノハナサクヤヒメの出身部族を表していつともいいます。
宮崎県宮崎市の木花神社や宮崎県西都市の都万神社などでまつられており、いずれもコノハナサクヤヒメや父のオオヤマツミに関する伝説が残っています。
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