古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

天降を拝命する

ニニギの自伝 3

 

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わたしは祖母のアマテラス大御神から、日本の統治者として日本に降りるよう命じられた。

 

「え・・・わたしが・・・」

わたしは戸惑った。おもわず、そばに控えていた父のオシホミミのほうを振り向く。

 

オシホミミは言った

「ニニギ!わたしは日本の統治者としてお前を指名し、アマテラス大御神に申し上げたのだ。日本を統治するのは年老いたわたしよりも、まだ若いニニギがふさわしい。わたしに変わってニニギを降臨させるように、と。

ニニギ、お前なら日本の国を立派に統治することができるだろう!!」

 

続いてアマテラス大御神も言われた

「日本の国は葦が豊かに茂り、永遠に稲穂が実る豊かで美しい国です。この国はそなたが治めるのにふさわしい国です。そなたはこの豊かな日本の統治者として降臨するのです。よろしいですね」

 

わたしに一国の支配ができるのか・・・一抹の不安はあった。

 

しかし、日本の国は、とても豊かで山紫水明のいい国だそうだ。もともと気候がよく土壌も豊かだったこの地を、オオクニヌシが立派な国に作り上げ、そしてアマテラス大御神に献上したものだそうだ。

そのような国の支配ができるというのは、名誉なことである。

 

まだ若かったわたしは、その場で

「はい、身に余る光栄をありがとうございます。謹んでお受けいたします」

と、元気よく答えたのだった。

  

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ニニギの自伝 目次

 

☆オシホミミ

 

ニニギの父、オシホミミ。スサノオとのうけいで生まれたアマテラスの5人の男神の長男です。

 

最初、日本に降臨するようアマテラスから命じられたのですが、その時オオクニヌシが日本を支配しており、その使命は果たせませんでした。

後にタケミカヅチの交渉によりオオクニヌシからアマテラスに日本の国が譲渡され、改めてアマテラスから降臨の命が下ったのですが、オシホミミは辞退しその役目を子のニニギに任せました。

 

オシホミミは福岡県田川郡添田町英彦山神宮や、奈良県生駒市の天忍穂耳神社などで祀られています。

 

karibaryokouki.hatenablog.com

 

エナガ先生の講義メモ 天忍穂耳神社



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