古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

クシナダヒメを嫁に

f:id:karibatakurou:20201222055722p:plain

 

「そうか、判った。安心して、わたしに任せるがよい! 

ところで・・・アシナヅチ! クシナダヒメをわたしの嫁にくれないか!!」

 

八俣のおろちの話を聞いて興奮したわたしは、アシナヅチに申し出た。

 

アシナヅチははっとわれに返ったように顔を上げ、わたしのほうを見た。テナヅチと、クシナダヒメも、顔を上げてわたしのほうを見つめる。

親子と娘の三人は、不安な表情で私を見つめていた。

 

アシナヅチが、恐る恐る口を開いた

「あの・・・まだお名前さえもうかがっていないのに・・娘を嫁にと言われましても、なんとも・・・」

 

わたしはにっこり笑って言った

「ああ、そうだな。わたしはスサノオと申します。今、高天原から降りてきたところです。」

 

それを聞いた瞬間、アシナヅチの表情がパッと変わった。テナヅチクシナダヒメも同じだった・・・

あたかも、不安の底から、一筋の希望の光が差したように・・

 

アシナヅチは言った

 

「え、スサノオさま・・・アマテラス大御神の弟君でいらっしゃる、スサノオさまでございますね・・・

これは恐れ多いことでございます。どうか娘を、よろしくお願いいたします」

 

「おう、そうか。きまりだな、ふふ、明日が楽しみだ・・」

 

前<<<  八俣のおろち - 古事記の話

次>>>  八俣のおろちに備えて - 古事記の話



スサノオの自伝 目次

 

クシナダヒメ

 

f:id:karibatakurou:20210217180156j:plain

 

クシナダヒメは現在の島根県仁多郡奥出雲町で生まれました。生誕の地には稲田神社が建立されており、近くにはクシナダヒメが産湯を使った「産湯の池」や、クシナダヒメの臍の緒を切った竹べらが萌芽し成長した「笹の森」が残されています。

 

karibaryokouki.hatenablog.com

 

karibaryokouki.hatenablog.com

 


≪リンク≫
 
小説古事記

古事記ゆかりの地を訪ねて
カリバ旅行記
温泉の話
駅弁の話
鉄道唱歌の話