「そうか、判った。安心して、わたしに任せるがよい!
ところで・・・アシナヅチ! クシナダヒメをわたしの嫁にくれないか!!」
八俣のおろちの話を聞いて興奮したわたしは、アシナヅチに申し出た。
アシナヅチははっとわれに返ったように顔を上げ、わたしのほうを見た。テナヅチと、クシナダヒメも、顔を上げてわたしのほうを見つめる。
親子と娘の三人は、不安な表情で私を見つめていた。
アシナヅチが、恐る恐る口を開いた
「あの・・・まだお名前さえもうかがっていないのに・・娘を嫁にと言われましても、なんとも・・・」
わたしはにっこり笑って言った
「ああ、そうだな。わたしはスサノオと申します。今、高天原から降りてきたところです。」
それを聞いた瞬間、アシナヅチの表情がパッと変わった。テナヅチとクシナダヒメも同じだった・・・
あたかも、不安の底から、一筋の希望の光が差したように・・
アシナヅチは言った
「え、スサノオさま・・・アマテラス大御神の弟君でいらっしゃる、スサノオさまでございますね・・・
これは恐れ多いことでございます。どうか娘を、よろしくお願いいたします」
「おう、そうか。きまりだな、ふふ、明日が楽しみだ・・」
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☆クシナダヒメ
クシナダヒメは現在の島根県仁多郡奥出雲町で生まれました。生誕の地には稲田神社が建立されており、近くにはクシナダヒメが産湯を使った「産湯の池」や、クシナダヒメの臍の緒を切った竹べらが萌芽し成長した「笹の森」が残されています。
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