古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

高天原を追放される

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 わたしのせいで一人の女神が死んだ。姉神アマテラスは天の岩屋にこもり、高天の原も地上の日本も真っ暗になった。日が照らないので作物は育たず、疫病は流行しているという。

 

これを聞いたとき、さすがに私の心も少し傷んだ・・ちょっとやりすぎたか・・

 

しかしそんなものは、続いて湧き上がってくる怒りの感情に、たちまち吹き飛んでしまった。

わたしは神だ。それも三貴神のひとりだ。アマテラスとのうけいでも潔白が認められたんだ。

 

そのわたしが、やりたいようにやって何が悪いというのだ!

岩屋にこもったと言っても、アマテラスが勝手にやったことではないか!

わたしは身勝手な憤りで体は爆発しそうだった。

 

しかし体を縛られ、注連縄が張られた結界に押し込められているわたしは、何もすることができない・・ただ怒りで体を震わすばかりだった・・・

 

やがて、再び日が昇る時が訪れた。

なんでも知恵の神オモイカネが策略をめぐらし、上手いことアマテラスを岩屋の中から外に誘い出すことに成功したらしい。

太陽神アマテラスが岩屋から外に出てきたので、世の中に光が戻ったというわけだ。

 

そしてわたしは・・・

 

高天の原の神々によって、すべての財物を没収された。

 

また、髪もひげも短く切られ、爪も短く切られてしまった。これはこの当時の男神にとっては、死にも等しい、いや死以上の屈辱以外の何物でもなかった。

 

そしてわたしは、高天原を追放されてしまったのだ・・。

  

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スサノオの自伝 目次

 

☆天岩戸

 

本話では詳しく述べてはいませんが、スサノオが捕らえられた裏で行われていたのが、アマテラスを岩屋から誘い出す策略です。ウズメが踊り、神々が大笑いし、不思議に思ったアマテラスがそっと岩戸を開けたところをタヂカラオが力ずくで岩戸を開け、アマテラスを引き出します。

 

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