わたしは姉神アマテラスと女神たちが機織りをしている小屋に、皮をはいだ馬を投げ込んだ。
それから間もなくして・・・まだ昼間だというのに、突如空が真っ暗になった。どうしたというのだ・・・
その時だった。神殿にいた私のところに、大勢の神々がやってきた。みな力の強い、屈強な男神たちだ。
その先頭にいたタヂカラオの神が、わたしに言った
「スサノオ!お前を捕らえる!おとなしくしろ!」
その言葉を聞いたわたしはタヂカラオに向かって言い返す。
「何だと!誰に向かってものを言っている!わたしは最高神アマテラスの弟・・・」
しかしわたしの言葉は最後まで続かなかった。一斉に男神たちが私に襲い掛かってきたのだ。
わたしは抵抗するも、多勢に無勢であった。
わたしは捕らえられ、縄で縛られ、神殿の一室に閉じ込められた。その部屋の周りには注連縄が張り巡らされ結界となっている。これでは外に出ることはできない。
「おい!わたしは最高神アマテラスの弟だぞ!こんな扱いをして許されると思っているのか!」
わたしは叫ぶ。
すると、わたしを捕らえたタヂカラオがやってきて、言った。
「スサノオ!お前が投げ入れた馬のために、壊れた機織り機の破片が刺さった女神が一人死んだのだ!
アマテラス大御神は、お前の悪行三昧にあいそをつかし、天の岩屋の中に籠って隠れてしまった!
太陽神のアマテラス大御神が隠れたおかげで、高天原も地上の日本も、真っ暗な世の中になってしまった!
日が照らないので作物は育たず、世の中は疫病にあふれるようになってしまった!
すべて、お前の責任だ!」
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このあたりの話はぼくの創作であって、古事記にはありませんしタヂカラオもここでは登場しません。
タヂカラオが活躍するのは、アマテラスがこもった天岩戸をその大力を持って開けるシーンです。このとき投げ飛ばした天岩戸の岩が長野県の戸隠山にあるといわれ、戸隠神社ではタヂカラオを祀っています。
その後、タヂカラオは天孫ニニギに従って日本におりてきます。そして「タヂカラオは佐那々県に鎮座されている」と記載されています。現在の三重県多気郡多気町の佐那神社とされています。
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