古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

高天原で・・・

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わたしは姉アマテラスとのうけいで美しくしとやかな女神を産み、わたしの潔白は証明された。

姉が統治する高天原を乗っ取る気は無いと、アマテラスにわかってもらえたのだ。

 

気をよくしたわたしは、しばらくこの高天原に滞在することにした。

 

高天原は地上の日本と違って、神の国だけあってすみやすいところだ。しかも八百万の神々は、わたしが高天原の統治者アマテラスの弟であるだけに、わたしに頭が上がるものはいなかった。

道を歩けばみなお辞儀をし、手を合わせて道をあけて通してくれる。働かなくても神々は作物や海山の獲物を献上してくれる。

まるで天国のようだ・・・いや、実際日本の天の上にある国なのだが・・・

 

そしてわたしはだんだん気が大きくなった。そして自分の気のおもむくまま、乱暴な行動に走るようになっていったのだ。

わたしはもともと武勇の神である。その神の本性が、正義の方向ではなく、悪い方向に向かって発散され始めたのである。

 

あるときは、神々が精魂込めて作った田圃を壊して台無しにしたりした。またある時は、アマテラスが祈りをささげる神聖な神殿に糞をまき散らしたりした。

 

そのたびに神々が大騒ぎするのを見るのがとても面白かった。まあ、今でいう愉快犯といったところか・・・・

それでも神々はわたしには何も言わなかった。

 

なんでも裏では、アマテラスが必死に私をかばって、神々を抑えてくれていたらしい。

 

しかしその時はそんなことなど全く知らず、神々が何も言わないのをいいことに、わたしの行動はどんどん激化していった。

 

そしてその日、わたしは越えてはならない一線を、越えてしまったのだった・・・

 

 

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