神武天皇の自伝 3
その年の10月のある日、わたしと兄イツセの兄弟と、わたしたちの従者側近、それに高千穂宮の軍勢が日向の美々津港に集まった。これから日向から東国に遷都すべく、艦隊を組んで出港し海を東に向かう。
出港の前日、我々は港のそばに航海の神、住吉三神をお祀りし、艦隊の安全を祈った。
そして翌朝・・・
まだ夜が明けやらぬ真夜中だった。この地で雇った水先案内人が、わたしとイツセの寝ている仮宮に飛び込んできた。何事かと思ったが・・・
水先案内人が言うには、今が風も波も最適で、出港するには今しかないという。それを聞いたわたしとイツセは、すぐに出港することを決めた。すぐに配下のものに命じて出港の準備をさせた。
人々は真夜中の町を「起きよ!起きよ!」と触れ回り、皆であわただしく船を出す準備をしたのだった。
そしてまだ暗い中、我々の艦隊は出港した。
これまで天孫二ニギの降臨以降、三代にわたって拠点としてきた日向の高千穂宮を離れ、未知の東国に向かって・・・
海は静かで風向きはよく、我々は順調に航海していった。
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☆美々津
宮崎県日向市美々津町はイツセとイワレの一行が艦隊を率いて出港した地とされており、出港地の近くには「日本海軍発祥之地碑」が建立され、航海の安全を祈願した立磐神社も残っています。
また、早朝に「起きよ、起きよ」と触れ回ったという伝説から、美々津町では旧暦8月1日の早朝、短冊飾りを持った子供たちが各家々の戸を「起きよ、起きよ」と言って叩いてて回る「起きよ祭り」が開催されています。
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