わたしは出雲の国の支配をかためた後、徐々に周辺国へ支配地を広げていった。
どうしてもわたしの支配に入ることを潔しとせず、やむなく武力で制圧したことももちろんあった。しかしわたしが支配地を広げるにつれ、進んで私の傘下に入る豪族も多くなってきた。
そしてある年、わたしは越の国、今の新潟県まで遠征に出ていた。そしてその地の一族とも戦を交えることなく、平和裏にわたしの傘下に入ることになった。
そして同盟の証として、その地の支配者の娘、ヌナカワヒメを私の妻として迎え入れることになった。
部族長との話し合いが終わったその夜、わたしはヌナカワヒメのもとを訪ねた。
屋敷の中の、ヌナカワヒメがいる離れ家。その戸の前で、わたしは言った。
「遠い遠い国から嫁を探してきたよ、美しい、賢い女神がいると聞いて・・・この戸を開けてくれないか。鶏の泣かぬうちに、夜の開けぬうちに・・・」
すると、戸の中から声が聞こえた
「オオクニヌシさま・・・今のわたしは相手がいない鳥。やがて、あなたに寄り添う鳥になりましょう。青い山に陽が落ちたら、どうぞおいでになってください」
きれいな声だ・・・まだ身支度ができてなのだろうか・・・
・・・そんなこんなで、その日はヌナカワヒメに会えず、あくる日に会うことができたのだった。
こうして私は越の国も平定し、出雲に戻ってきた。
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☆奴奈川神社
ヌナカワヒメの里である新潟県糸魚川市にあり、ヌナカワヒメを祀ってあります。
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