古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

スサノオさまの宮殿で

f:id:karibatakurou:20200901112859j:plain

 

「お前、アシハラシコオだな」

 

・・・スサノオさまはそう申された・・・いったいどういうことなのだ・・・

 

アシハラ(葦原)は日本のことだ・・シコオ(醜男)とは強い男、を意味するが・・・日本の強い男、って、わたしが?・・

 

そういえば、木の国のオオヤビコ様は「お前は日本を背負って立つ神だ」と言われていた・・・何か関係があるのか・・・わからない・・・

 

しかし、どういうことか尋ねようにも、何も言葉が出てこなかった・・・スサノオさまの威厳を前にして、わたしは何もできなかったのだ・・・

 

そんなわたしをみて、スサノオさまは言った

「まあ、そう硬くならなくてもよい。ここでゆっくりするが良いぞ」

その時、スサノオさまは今までとは打って変わってやさしい表情になっていた。

 

スサノオさまは笑顔でスセリヒメに言った

「スセリ!今夜はごちそうを作って、オオナムヂをもてなしなさい」

 

そしてその夜、わたしはスサノオさまと、スセリヒメと食卓を共にした。

スサノオさまは気さくにわたしに話しかけてくる。

 

緊張が完全に溶けたわけではないが、その柔和なスサノオさまに少し安心した。

 

・・・しかし、その安心は、これから始まるスサノオさまの試練の、序章に過ぎなかったのだ・・・

 

前<<<  スサノオさまと会う - 古事記の話

次>>>  根の国での最初の夜 - 古事記の話



オオクニヌシの自伝 目次



≪リンク≫
 
小説古事記

古事記ゆかりの地を訪ねて
カリバ旅行記
温泉の話
駅弁の話
鉄道唱歌の話