スセリヒメは、わたしを宮殿の一室に連れて行った。
そこには一人の大男が背を向けて座っている・・・これがスサノオさまか・・・私は緊張して足が震えているのが分かった。
そんなわたしの様子を察してか、スセリヒメはわたしをみつめる
・・・大丈夫よ、安心なさい、父上は見た目は怖いけど実はやさしい人なのよ・・・
スセリヒメの澄んだ目はそう言っているようだった。
スセリヒメはわたしから手を放し、男のほうに近づくと
「お父様、お客様です」
と言った。
やはりこの男が、スセリヒメの父、スサノオさまか・・・
「客だと・・・誰だ?」
スセリヒメが答える
「はい、とても立派な神様です」
その声に、スサノオさまはゆっくりと振り向いた・・・わたしと目が合う・・・
わたしは緊張のあまり、身動き一つできなかった・・・体中がくがくと震えていた・・・
スサノオさまは、黙ってわたしを見つめていた・・まるでわたしの心の中、そしてわたしの本性、すべてが読み取られていく気がした・・・
そして、おもむろにスサノオさまは申された
「お前・・アシハラシコオだな・・・」
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☆アシハラシコオ
スサノオはオオナムヂを見て最初に開口一番「こいつはアシハラシコオ(葦原色許男命)だ」と言いました。
「アシハラ」は葦が豊かに茂るところの意味で、すなわち瑞穂の国、日本のことです。
「シコオ」は漢字で書くと「醜男」ですが、ここでは「醜い男」ではなく「強い男」の意味です。
つまり「日本の強い男」、すなわち「日本を支配する男」だとスサノオは言ったのですね。
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