古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

うさぎとわに

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うさぎは自分にふりかかった災難を私に話しだした。

 

うさぎの話によると・・

 

うさぎは隠岐の島に住んでいたそうだ。隠岐の島からは、山陰の海岸がかすかに見えていた。海を渡っていった日本はどんなところなんだろう・・・そう思ったうさぎは対岸の因幡にわたりたくなったという。

そうはいってもうさぎには海を渡る力は無い・・

 

そこでうさぎは一計を案じた。海を泳いでいるワニに、うさぎの一族とワニの一族と、どっちが数が多いか数を比べよう、とけしかけたそうだ。

そしてワニを隠岐の島から因幡の海岸まで一列に並ばせ、その上を数を数えるふりをしながら、ぴょんぴょんとワニの背中を飛びながら渡ってきたという

 

因幡の青い松原、白い砂浜が見えてきたとき、その美しさに感動した、とも話す。うさぎはうれしさで天まで上る心地だったに違いない・・・

 

そしてもう少しで因幡の濱に降りようというとき、うれしさのあまりつい口走ってしまったという・・『ははは、馬鹿なわにたちだ。騙されてるとも知らずに・・おかげで無事、因幡に着いたぞ!』・・と

 

その言葉をわにたちは聞き逃さなかった。浜へ降りる寸前に、うさぎはわににつかまった。そしてわにたちは、うさぎに襲い掛かると、その皮をみぐるみ剥いでしまったという・・・

 

 

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・・・そしてうさぎは話をつづける・・・

 

「わにたちは海に帰り、皮を剥がれて残されたわたしは、痛くてうめいていました・・するとそこに、大勢の神様が通りかかったのです。

 

わたしは神様に助けてもらおうと、訳を話して助けを乞いました。神様は大笑いてましたが、海の水を浴びて岩の上で風に吹かれて居れば治ると教えてくれました。

そこで神様の教えてくれた通りにしたのですが・・・

 

海の水が風に吹かれて乾くと、塩が沁みて、激痛が襲ってきたのです・・・もう痛くて痛くて・・・もう泣いても泣いても治まらず・・・ああ、どうしよう・・・!」

 

そういうと、うさぎは再び泣き始めた。

 

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☆わに

 

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ここで言うワニは、爬虫類のクロコダイルやアリゲーターではなく、魚類のサメのことだとされています。

(一部にはこの話は東南アジア起源であり本当に爬虫類のワニのことだ、という説もあります。)

 

日本海沿岸では昔からサメのことをワニと呼んできました。

サメの肉は死後アンモニアを生じます。そのため匂いがきつい一方で腐敗が遅く、冷蔵技術がなかった昔、山間部では貴重な海魚とし重宝されてきました。

 

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