古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

みそぎ

 

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黄泉の国から帰ってきたわたしは、日向の橘の小戸の阿波木原に来ていた。

わたしは禊(みそぎ)のために、九州のこの地にやってきたのだ。

 

わたしは黄泉の国に行ってきた。黄泉の国は死者が行く穢れた国である。

その黄泉の国に行った私の体にも穢れがまとわりついている。この穢れを落とさなければならない。

 

わたしは川のほとりに来た。すでに日は暮れている。

 

月明かりの下、わたしは来ているものを脱いで投げ捨てた。杖も帯も衣も、袋も冠も指輪もすべて。

 

投げ捨てたものからは、また多くの神が生まれてきた。道をつかさどる神々である。今は集落の入口に道祖神として祀られている。

 

来ていたものを脱ぎ捨てたわたしは、川の中に入っていった。わが身に当たる川の流れが心地よい。

わたしは川の中ほどまで来た。そこで身体を漱ぎ穢れを落とす。

その穢れからも神が生まれてきた。これは残念ながら世の中に災いをもたらす穢れの神だった。

ただ禊をすませたわたしの身体からは、穢れを浄化する神も生まれてきた。

 

わたしはさらに深みに進んでいき、全身を川に浸して禊を進めた。そこでまた神が生まれてきた。綿津見三神と呼ばれる海の神、それに住吉三神と呼ばれる航海の神である。

 

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イザナギの自伝 目次

 

 

江田神社

 

宮崎県宮崎市阿波岐原町(あわぎがはらちょう)にある江田神社イザナギ主祭神として祀っています。神社の近くにはイザナギが禊をしたという「みそぎ池」が残っています。

 

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志賀海神社

 

 福岡市東区志賀島志賀海神社綿津見三神を祀っており、全国の海神を祀る神社の総本社とされています。

 

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住吉神社

 

みそぎで生まれた住吉三神を祀る神社です。全国にあり、大阪市住吉大社総本宮とされますが、その始祖となるのは福岡の住吉神社と云われています。

 

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