わたしは死んだイザナミを連れ戻すために、死者の行く地である黄泉の国に来ていた。
黄泉の国でイザナミを探し歩くうち、石と土の宮殿を見つけた。辺りは静まり返り、それでいて重苦しく不気味な空気が漂っている。
私は確信した「この中に、イザナミがいるにちがいない」と。
わたしは宮殿の途に手をかけた。しかし中から閂がかかっているのだろうか、押しても引いても動かない。
わたしは扉をたたいた。そして叫んだ
「イザナミ!聞こえるか!イザナミ、迎えに来たんだ!一緒に帰ろう!おい、聞いてるか、イザナミ!」
しかし反応はない。
イザナミが居るのはここではないのか・・・不安がわたしを覆ってきた。わたしはそんな不安を打ち消すようにさらに戸をどんどんと叩いた。
中から反応はない・・・やはりここにはイザナミはいないのか・・・
その時だった、戸の向こうから懐かしい声が聞こえたのだ。
その声・・忘れるはずもない、愛しい妻イザナミの声だ!わたしはあふれてくる喜びのままに叫んだ
「イザナミ!迎えに来たんだ!まだ日本の国は作り終えてはいない、お前の力が必要なんだ!さあ、明るい日本へ帰ろう!」
「ああ、イザナギ・・来てくれたのね!うれしい・・」
「イザナミ!早くこの戸を開けてくれ!」
・・・しかし、戸の向こうからは反応はない・・・いや、すすり泣くような声が聞こえる・・・
いったいどうしたというのだ・・・
前<<< イザナミを迎えに行く - 古事記の話
次>>> 遅かった・・ - 古事記の話
イザナギの自伝 目次
≪リンク≫
小説古事記
古事記ゆかりの地を訪ねて
カリバ旅行記 本日更新
温泉の話
駅弁の話
鉄道唱歌の話 本日更新