やっと会えたイザナミ、しかしそのおぞましい姿・・・私は思わず松明を落としてしまった。次の瞬間、踵を返すと一目散に逃げだしていた。
すると、背後からイザナミの声が聞こえた・・・確かにイザナミの声だが、優しかった昔のイザナミの声ではない・・・
「ああ!イザナギ!あんなにわたくしの姿を見ないでって頼んでおいたのに!・・・悔しい!」
鬼気迫る、恐ろしい声だ・・
わたしは全速力で駆けぬけ、宮殿の外に出た。なおもわたしは突っ走った。
しかし異様なものを背後に感じて後ろを振り向くと、宮殿からは黄泉の醜女(しこめ)が追いかけてきた。イザナミが追わせたものだろう。
醜女の足は速い!みるみる追いつかれそうになる!このままでは危ない!
わたしはとっさに髪を束ねていたカズラをほどき、それを追ってくる醜女に向かって投げつけた。
カズラはたちまちのうちにそこに根を張り、大きく成長していき、山ぶどうの実をいくつもつけたのだ!
醜女はその山ぶどうを見ると、身をもぎ取りむしゃむしゃ食っている。
こうして時間稼ぎをしている間に、わたしはさらに走って逃げた。
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