古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

逃げる!

 

f:id:karibatakurou:20200724171757p:plain

 

やっと会えたイザナミ、しかしそのおぞましい姿・・・私は思わず松明を落としてしまった。次の瞬間、踵を返すと一目散に逃げだしていた。

 

すると、背後からイザナミの声が聞こえた・・・確かにイザナミの声だが、優しかった昔のイザナミの声ではない・・・

 

「ああ!イザナギ!あんなにわたくしの姿を見ないでって頼んでおいたのに!・・・悔しい!」

 

鬼気迫る、恐ろしい声だ・・

わたしは全速力で駆けぬけ、宮殿の外に出た。なおもわたしは突っ走った。

 

しかし異様なものを背後に感じて後ろを振り向くと、宮殿からは黄泉の醜女(しこめ)が追いかけてきた。イザナミが追わせたものだろう。

醜女の足は速い!みるみる追いつかれそうになる!このままでは危ない!

 

わたしはとっさに髪を束ねていたカズラをほどき、それを追ってくる醜女に向かって投げつけた。

カズラはたちまちのうちにそこに根を張り、大きく成長していき、山ぶどうの実をいくつもつけたのだ!

 

醜女はその山ぶどうを見ると、身をもぎ取りむしゃむしゃ食っている。

 

こうして時間稼ぎをしている間に、わたしはさらに走って逃げた。

 

 前<<<  イザナミに会えた!・・が・・ - 古事記の話

次>>>  現世に戻ってきた - 古事記の話



イザナギの自伝 目次



≪リンク≫
 
小説古事記

古事記ゆかりの地を訪ねて
カリバ旅行記  本日更新
温泉の話
駅弁の話
鉄道唱歌の話