「なに・・・マヨワはツブラの屋敷に居るだと・・」
兄クロヒコとシロヒコを殺し、宮に戻ったオオハツセ。捜索隊から報告を受けたオオハツセは、顔を曇らせて言った。
実はツブラの娘、カラヒメをオオハツセの嫁として迎え入れることが決まっていたのだ。
しかし、天皇を殺した反逆者をかくまっているとなれば、ほおっておくわけにはいかない。オオハツセは直ちに軍を率いてツブラの屋敷に向かった。
一方、ツブラの屋敷では、マヨワをかくまった時点で皇軍が攻めてくるであろうことは予想していた。ツブラも兵士を集め、屋敷の守りを固めていた。
そこにオオハツセ率いる皇軍が攻めてきた
ツブラの屋敷からも応戦の矢が放たれる。両軍から雨あられのように矢が降り注いだ。
両軍の攻撃がいったん小康状態となった時だった。オオハツセが最前線に出てきた。オオハツセは矛を振りかざしながらツブラの屋敷に向かって叫ぶ。
「ツブラ!わたしが言い交した娘は、まだ家の中にいるのか!」
その声に、ツブラは武装を解いて出てきた。オオハツセに対し深々と頭を下げ、両手を合わせて拝む。
「オオハツセ様、先にお約束いたしました私の娘カラヒメは、オオハツセ様のもとにお仕えいたします。また娘には、私が持つ五か所の田地もすべて副えて献上いたします」
ツブラは静かに言った。
前<<< 殺される兄 - 古事記の話
次>>> マヨワとツブラ、自決する - 古事記の話
古事記上巻 日本神話 目次
古事記中巻 神武天皇~応神天皇 目次
古事記下巻 仁徳天皇~推古天皇 目次
≪リンク≫
カリバ旅行記
温泉の話
駅弁の話
古事記ゆかりの地を訪ねて