カルは伊予の湯に流刑となった。
そこは当時から温泉地として知られてはいたものの、都から遠く離れた寂しい地であった。
そこでカルは虚しい日々を送っていた。
ソトオリは流刑こそ免れたものの、大和のとある豪族の家に軟禁されていた。
カルはその日も伊予の海岸に立って、海を見つめていた。妻であり妹であるソトオリ・・・この海はソトオリがいる都につながっている・・・会いたい・・・思いは募る。
その時だった
「カルさま・・・」
忘れもしないその声・・カルは一瞬、幻聴が聞こえたかと思った。しかし振り向くと・・そこにいたのはソトオリだった。
「ソトオリ・・・ソトオリなのか!どうしてここに!」
「ああ、カル様・・あなたがお出かけになってから、もう長い時が経ちました・・お帰りを待ちきれず、お迎えに来てしまいました・・」
「ああ、ソトオリ・・・玉よりも大事な妹、鏡よりも大事な妻よ・・・もう離れることは無い、わたしたちはいつまでも一緒だ!」
「さあ、行きましょう・・都から追手が来ないうちに・・」
そして二人は自害して果てたという。
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伊予に流されたカルの墓と伝えられています。
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