このイワノヒメが、なかなかものすごい嫉妬の持ち主だった。
身分が高い男は複数の妻を持つことが普通だったこの時代に、天皇がちょっとでも他の女性に手を出すと手足をばたつかせて暴れたのである。
このため天皇が召し出した女性たちは誰も宮中に入ることができなかった。
さて、ここに天皇は、吉備のクロヒメがすごい美人だと聞き、宮中に召し出した。しかし、イワノヒメはまた嫉妬し、表に裏に嫌がらせを行う。
このためクロヒメはすぐに逃げだし、故郷の吉備に帰ろうとした。
これを聞いた天皇は、港が見える高台へ急ぎ登っていった。
そして今まさに港を出ようとする、クロヒメが乗った船を見て
「沖に連なる小舟・・輝く刀身のように美しいわが妻が、故郷に帰っていく・・」
と言った。
これを聞いたイワノヒメ、大変怒って、すぐに人を遣わしてクロヒメを船から降ろさせ、吉備まで歩いて帰らせたという。
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☆前話までの聖帝とは一転して
ここからは次々といろんな女に手を出す浮気性な天皇と、その度に嫉妬に狂う皇后の、どろどろした話になります・・
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古事記ゆかりの地を訪ねて