古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

その時、新羅で

 

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ここは朝鮮半島新羅(しらぎ)の国。

新羅の王宮では、いつものように国王を重臣が取り囲んで政務が行われていた。その時、・・

 

ずずずずず・・

 

突然、不気味な音が鳴り響いた。そして王宮は小刻みに揺れる。

「・・・なんだ、どうしたんだ?」

国王も重臣も息をのみ、顔を見合わせる。

 

「王様、大変です!」

家臣の一人が血相を変えて飛び込んできた。

「海から、波が・・・大きな波がうねりとなって、王宮のほうに押し寄せてきてます!」

「なに?それはどういうことだ?」

 

国王は王宮の外に出た。王宮は小高い丘の上の上に立っている。

・・・波が眼下の町を飲み込んでいく。住民は急いで丘の上のほうに避難していた。

「いったい、何があったというんだ!・・」

国王は恐怖に顔が引きつった。慌てて王宮の中に逃げ込んだ。

 「ああ・・海の水が国に上るなんて、我が新羅の建国以来聞いたことがない・・この国は、海に沈んでしまうのか・・」

国王は王宮の中で震えていた。

 

残った家来は高台の上で、押し寄せてくるの姿に目を凝らした。

すると、波に乗って船団も一緒に押し寄せてきているのが分かった。

 

船団は王宮の前までくると、そこで止まった。そして船団を残して波は引いていった。

 

船団から兵士に守られて降りてきたのは、皇后オキナガタラシヒメ(神功皇后)と側近の建内宿祢だった。

玄界灘で魚が起こした波と追い風は、船団を朝鮮半島の奥深く、新羅の王宮まで運んできたのだった。

 

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☆西の国?

 

神のお告げは「西の国を攻めよ」でしたが、地図を見ると、新羅がある朝鮮半島は北部九州から見て北西の方向になります。

まあ、おおむね西ということでいいんでしょうか。あるいは大和から見て西ということか?・・


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