古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

相武の国で

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尾張のミヤズヒメと別れたヤマトタケルは、東進して相武国(さがむのくに)に来ていた。

ヤマトタケルはここでも国造(くにのみやつこ)の屋敷に滞在していた。

 

国造はヤマトタケルを歓迎するが、その歓迎の宴でヤマトタケルに言う。

 

ヤマトタケル様・・東国の、朝廷に従わない者どもの平定の旅ということですが・・実は、この国に広い野原があり、そこの沼のそばに非常に荒々しい一団がいるのです。国造であるわたしの命令も聞かず、略奪強奪のし放題、ほとほと手を焼いております。」

「ほう・・そんな者どもが暴れているとは・・そなたも大変だな」

「恐れ入ります」

「よし、明日にでも、そこに行って見よう!」

 

翌朝、ヤマトタケルと国造は、その野原に来ていた。

ヤマトタケル様、この先の沼のほとりに、件の集団はたむろしているのです」

「よし、行って見よう」

 

ヤマトタケルは単身、野原の草をかき分けながら進んでいった。

 

野原の草をかき分けながらヤマトタケルは進んでいく。

 

すると、ヤマトタケルの頭上を、次々と何かが飛んでった・・火矢だった。

 

火矢はヤマトタケルの周りに次々と着地した。その火は野原の枯れ草に着火すると、風にあおられ勢いよく燃えあがった。たちまちヤマトタケルは火の海にとりかこまれてしまった。

 

「むむ・・・これは・・・」

ヤマトタケルは後ろを振り返る。

 

すると、そこにはにやにや笑いながら立っている。ヤマトタケルは国造に騙されたとことを知った。

国造は表では朝廷に恭順しながら、裏では朝廷に反抗する勢力とつながって謀反を企んでいたのだ。

 

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