また、天皇は臣下のタヂマモリを、常世の国、すなわち海外の遠い国に派遣させた。「ときじくのかぐの木実」を探索させたのである。
タヂマモリは朝鮮新羅の王子を祖先に持つだけあって、当時の国際情勢には明るかったのだ。
「ときじくのかぐの木実」は不老不死の妙薬と伝えられていた。これを聞いた天皇は日本国民の幸せを願い、この木の実を日本でも栽培し定着させようと考えたのである。
はたしてタヂマモリは、幾年もかかって遠い異国でその実を見つけ、日本に持ち帰ってきたのだった。
しかし・・・
タヂマモリは持ち帰った木の実を、天皇の御陵に捧げて供え置いた。そして
「ああ、陛下!・・・私は常世の国から、ときじくのかぐの木の実をもってまいりました!私はいつまでも陛下のそばにお仕え申し上げております!」
こう叫んだと思うと、その場で泣き崩れてしまった・・・
・・どれくらい時間が立ったろうか・・タヂマモリは動かなかった。
ついてきた従者がが心配し、声をかけ、体をゆすると・・
タヂマモリは泣き崩れたその姿勢のまま、死んでいた。
「ときじくのかぐの木の実」というのは、今の橘(たちばな)のことだという。
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☆ときじくのかぐの木の実
古事記ではこの話の最期は「ときじくのかぐの木の実とは、今の橘である」と結ばれています。この「橘(たちばな)」が何かについてはいろいろ議論があるようですが、柑橘系の一種であることは間違いないでしょう。
ちなみに現在「タチバナ」と言っている木の実は直径3㎝ほど、酸味が強く生食には向きません。マーマレードに加工されることはあるようです(wikipediaより)
☆宝来山古墳
垂仁天皇の御陵とされており、古墳を取り囲む堀の南東部に浮かぶ島はタヂマモリの墓と伝えられています。
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