古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

勾玉が器に張り付く

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侍女は井戸から水を汲んだ。その時だった。

 

井戸の中から光が出ているのに気づいた。侍女は井戸をのぞき込んで見ると、そこには木に登ったホオリの顔が映っていた。

 

侍女は木の上を見上げた。そして木の上にいるホオリを見つけた。

 

ホオリは木から降りて来た。

「すみません、びっくりさせてしまって・・・申し訳ないが、水を一杯、いただけませんか」

侍女は、今汲んだ水の入った器を差し出した。

 

すると、ホオリはその水を飲むわけではなく、首にかけた勾玉を一つ外すとそれを口に含み、器の中に吐き出した。そしてその器を侍女に返したのだった。

 

侍女は訳が分からなかった。返してもらった器の中を見ると、勾玉は器の底に張り付いて取れない。

仕方ないので、勾玉がついたままの器をもってトヨタマビメのもとに帰っていった。

 

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