古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

サルタビコ、故郷へ帰る

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こうしてニニギは日向の地、高千穂の宮において日本の統治者として君臨することになった。

 

さて、ニニギが降臨する際、案内役として一行を導いてきたサルタヒコ、高千穂の宮にニニギが落ち着いた後も、しばらくはニニギのそばに仕えていた。

 

そんなある日、サルタビコはニニギの御前に出て、かしこまりながら言った。

「ニニギ様、わたしは降臨の案内役として仕えてまいりましたが、その任もすでに終わりました。つきましては私の故郷、伊勢に帰りとうございます。」

 

ニニギは日本に降りてきて以来、何もかも勝手がわからぬことばかりだった。そんなとき、日本の国つ神であり日本の事情をよく知っているサルタビコを大いに頼りにしていたのである。

ニニギは引き留めたが、サルタビコの望郷の念は強かった。ニニギはサルタビコの申し出を了承した。

 

ニニギはウズメを呼び出していった

「ウズメ、サルタビコが故郷に帰ることになった。ついてはそなたにサルタビコを伊勢までしっかり送り届けてもらいたい。日本に降りる際、サルタビコの正体を確認したそなたがこの役には適任だ。引き受けてくれるな?」

「はい、承知仕りました。伊勢の国につくまで、しっかりとサルタビコさまをお守りいたします」

「うむ、頼むぞ。それからサルタビコの名は、そなたが受け継ぐがよい」

「かしこまりました。サルタビコ様の名に恥じないよう、これからも精進してまいります」

 

こうしてウズメがサルタビコを守り、サルタビコは伊勢に帰っていった。

また、ウズメの子孫はサルタビコの名を受け継ぎ、代々猿女君(さるめのきみ)を名乗ることになった。

 

ウズメはサルタビコを送り届け、日向に帰り着いた時のことだった。ウズメは海の魚たちを集めて「お前たち、天の御子にお仕えするか」と訊いた。

魚たちは「お仕えします」と口々に語ったが、なまこだけは黙っていた。ウズメは「この口は物言わぬ口か!」と言って、小刀でなまこの口を切り裂いてしまった。

このため、今でもなまこの口は裂けている。

 

その後、サルタビコは漁に出た際、貝に手を挟まれ、おぼれてなくなったという訃報が届いた。ニニギはサルタビコの死を悲しみ、長い間喪に服したという。

また、伊勢の国から海産物が宮中に献上された時には、まず一番にウズメの子孫である猿女君に下賜されるようになった。

 

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古事記の話 目次

 

 

☆ナマコ

 

ナマコの口、割けているのか何なのか、不気味な形はしていますが・・・

神代の昔から日本人とかかわりが深かったことは確かなようですね。

 

 

☆サルタヒコ

 

古事記にはその風貌は詳しくは載っていませんが、日本書紀には

 

「鼻の長さは七咫、座高七尺、身長は七尋はある(咫・尺・尋は古代の長さの単位だが、いずれも異常に大きいことの形容)。

口や尻から明るい光を放ち、目は鏡が光るようで、その様は赤いホオズキのようだ」

 

と記述があり、これらのことから後世、天狗と同一視もされています。

 

一説にはウズメと恋に落ち結婚したとも。

 

以下、いずれもサルタヒコを祭神とする神社です。

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

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