古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

ナキメ、啼く

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雉の女神ナキメは天から日本に降りていった。

 

ナキメは空から日本の国を見渡し、ワカヒコの屋敷を見つけるとそこを目指して降りていった。

 

ナキメは屋敷の入り口にあった桂の木の枝にとまり、啼いた。

その声は

「ワカヒコ、そなたを日本に遣わしたのは、日本を不当に支配している神を天に従わせるためであるぞ。しかるになぜ8年もの間帰ってこない!」

と聞こえた。

 

この声を聴いたのは、ワカヒコに仕えていた侍女だった。

この侍女はワカヒコが天から降りてきて、オオクニヌシの娘を娶って日本に滞在することになるまでのいきさつをすべて知っていた。

 

侍女はワカヒコに行った。

「ワカヒコ様、あの鳥の声には呪力があり、聴くものを不幸にしてしまいます。なので射殺してしまったほうがよろしいかと存じます」

 

侍女はワカヒコからの信頼も厚く、侍女の言葉に何の疑問も持たなかった。

ワカヒコは降臨するときにアマテラスから授かった弓矢を持ち出した。

ワカヒコは枝の先に停まっているナキメに狙いを定めた。

 

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古事記の話 目次

 

 

☆雉

 

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日本の国鳥、雉。

ケーンという甲高い啼き声は民話にも描かれ「雉も啼かずば撃たれまい」ということわざのもとになりました。

 

≪リンク≫
 
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