ここは高天原。
ホヒが高天原から地上に降り、3年の月日が経った。
タカミムスビとアマテラスは焦っていた。何しろ、この3年という間、ホヒからは何の報告もないのだ。
タカミムスビとアマテラスは、再び天の安川に八百万の神を集めた。
アマテラスが厳かに言う。
「日本の国は、太陽神であるわたしの血筋の神が本来統治すべき国ですが、今はオオクニヌシが支配しています。3年前、オオクニヌシのもとに統治権の譲渡を行うようホヒを派遣しましたが、いまだに何の報告もありません。どのようにすべきだろうか」
しばしの沈黙の跡、オモイカネが発言した。
「クニタマの子、ワカヒコを新たに派遣してみてはいかがでしょう。彼はとても勇敢な神で、交渉術にもたけています。きっとオオクニヌシを教え諭し、日本の国を取り戻してもらえるでしょう。」
このオモイカネの案にみな賛成し、ワカヒコが地上に派遣されることになった。
アマテラスはワカヒコに神聖なる弓矢を授けて激励し、ワカヒコは天の浮橋から地上に降りていった。
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