古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

クエビコとスクナビコナ

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オオクニヌシは、海からやってきた小さな神を連れて、クエビコのもとにやってきた。

 

クエビコは山田のカカシの神である。カカシだから歩くことはできない。しかし昼も夜も、雨の日も風の日も、一本の足でじっと立って周囲を見渡している。なので世の中のことは何でも知っている物知りの神である。

 

クエビコに小さな神の素性を聞くと「これはカミムスビさまの御子、スクナビコナさまでいらっしゃいます」と答えた。

カミムスビとは造化三神、すなわち世界で最初に生まれた三柱の神の一人である。

 

そこで、高天原カミムスビのもとに遣いを出した。

カミムスビは「確かにスクナビコナは私の子である。あまりに小さいので、私の手の指の間から零れて地上に落ちたのだ。これも何かの縁だ、これからはオオクニヌシスクナビコナ、兄弟となって一緒に日本の国づくりを行うが良い」と言った。

 

こうしてオオクニヌシスクナビコナという力強い右腕を得て日本の国土造営にあたった。

 

スクナビコナは小さな体に似合わず、あらゆる才能にたけていた。スクナビコナの指揮のもと切り開き、耕した田畑ではよく作物が取れた。医薬や酒造の知識も豊富に持っていた。温泉を開き、人々に湯治を勧めていった。

 

こうして民は栄え、日本はますます豊かな国になっていった。

 

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古事記の話 目次

 

 

☆手間天神社

 

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山陰本線の列車に乗って松江を出て米子のほうに向かっていると、線路と国道に沿う大橋川の中にポツンと浮かぶ島、塩楯島(しおたてしま)。島全体が手間天神社の境内になっています。カミムスビの手の間から海に降りた際に塩が固まって島となったそうです。

  

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道後温泉

 

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 伊予国風土記によれば、伊予の国に来たオオクニヌシが重病に陥りました。オオクニヌシを助けるため、スクナビコナ別府温泉の湯を豊予海峡の下を通して引湯し、温浴させたところ蘇ったそうです。これが今の道後温泉です。

 

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☆クエビコ

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スクナビコナの素性を明かしたクエビコ、その正体は田んぼの中に立っているカカシでした。

奈良県の三輪神社摂社の久延彦神社に知恵の神として祀られています。

 

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≪リンク≫
 
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