しかしその途端、スサノオは本性を出し、再び暴れだした。
アマテラスの神田の畔を壊し、水路を埋めた。また、アマテラスが祈りをささげる祭壇に糞をまき散らしたりした。
八百万の神々は、アマテラスのもとにやってきては、口々にスサノオを追放するよう訴えた。しかし、アマテラスはあくまでも弟をかばってやった。
「畔を壊し水路を埋めるのは、そこが本来緑豊かな土地なのに田の畔や水路にしておくのが惜しいと思われるのでしょう」
「大便のように見えますが、酔ってついつい吐いてしまったのでしょう。酒癖の悪さはわたしから弟によく注意しておきます」
こう言って神々をなだめようと必死だった。しかし、その気持ちはスサノオには通じなかった。そして・・・
その日、神殿の機織小屋で、アマテラスは他の女神と一緒に神衣を織っていた。その時だった。
ズーン、どしん!
「キャー!」
大音響が響き、機織小屋がグラグラ大きく揺れた。女神たちの甲高い悲鳴が響く。もうもうとほこりが待った。ほこりで回りは全然見えなくなり、アマテラスも女神たちも、何が起こったのか全く分からなかった。
「アマテラスさま、大丈夫ですか?」
「わたしは無事よ。みんな、けがはない?」
アマテラスと女神たちは、声を掛け合う。
そしてほこりがおさまってきたころ・・・女神たちは再び悲鳴を上げた。
そこには皮を剥がれて血だらけになって死んでいる馬がいた。天井にぽっかり穴が開いていた。そこから落ちてきたのだろう。機織り機は粉々に壊れていた。
アマテラスはつぶやく「スサノオの仕業ね・・・」
そう、それはスサノオが投げ入れたのだった。
しかし、それどころではなかった。「キャー!!」三たび女神の悲鳴が上がった。
「どうしたの?!」
アマテラスは急いで悲鳴がしたほうに駆け寄る。
そこにはバラバラになった機織り機の破片が突き刺さり倒れている一人の女神がいた。すでに息絶えていた。
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☆機織り
機織りと言えば昔話や伝説でおなじみですね。それだけなじみ深く、また神聖視されても来ました。
いちばんに思い浮かぶのは「鶴の恩返し」でしょうか。
そいいえば、今日は七夕でしたね。七夕伝説の織女も、字の通り機織り娘でした。
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