そこに、スサノオがやってきた。
アマテラスは一歩前に出る。土けむりは淡雪のように舞い、足が地面にめり込むほどの勢いだ。
アマテラスから口を開いた。
「スサノオ、何しに来た、答えろ!」
アマテラスが問う。いや、問うというよりも、ほとんど雄たけびに近いすさまじさだ。
さしものスサノオも、これにはたじろいだ。
「姉さん!勘違いしないで!俺は何もする気はないよ!お母様がいる根の国に行くところなんだ!でも、お父様に言ったら勘当された。だから俺はこのまま根の国に行くんだ!その前に姉さんに別れの挨拶を言いに来ただけなんだ」
「なにを、見え透いたことを!お前は高天原を乗っ取るつもりだろう!」
「姉さん、まだそんなこと言ってるの!?俺はそんなつもり全然ないよ!」
「ならば、それをどうやって証明する?」
普段穏やかなアマテラスが鬼気とした顔つきで迫る。逆に乱暴者のスサノオはすっかりおじけづいていた。
スサノオは意を決して言った。
「姉さん、ならばお互いうけいをして子を産みましょう」
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☆誓約(うけい)
うけいとは、霊力をもったものが「○○ならばこうなれ、××ならばああなれ」と言って実際に行動を起こしてその結果をもって判断するものです。日本神話にはたびたび出てきます。
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