イザナギの神殿を追い出されて、スサノオは荒々しく歩いていた。
「よし、それじゃ俺の望み通り、お母様に会いに根の国に行くぞ・・・でもその前に高天原の姉さんに別れの挨拶しとこうか」
とにかく乱暴に歩くものだから、山も川も揺れ動く。スサノオが近づくにつれ、高天原も大きな音をたててゆれだした。
高天原は大騒ぎになった。
神の一人が急いでアマテラスのもとにやってきて報告した。
「アマテラスさま!弟君のスサノオさまが高天原に昇ってきております」
「なに?!本当なの」
そういっている間にも、アマテラスの神殿もグラグラ揺れだす。
「あの乱暴者の弟がわざわざ高天原に上がってくるということは、決して良い心からではあるまい。さては、この高天原を乗っ取り、わたしに変わって天の支配者になる気ではあるまいか」
そう考えたアマテラスは、髪を解いてみずらに結い直した。みずらとは当時の男の髪型である。
さらに勾玉を髪にも、両手にも巻き付け、多くの矢が入った矢筒を背負い、防具を身にまとい、大きな弓を振り上げて待ち構えた。
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☆古代の服装
女神 アマテラスは男装してスサノオを威嚇しました。
魏志倭人伝には
「男子は髪を結い、何もかぶらず髪を露出している。木綿で頭を縛っている。衣服は横幅が広く、ただ結び付けているだけでほとんど縫うことは無い。
夫人はひたいを髪で覆って髪を折って結っている。一枚の大きな布の中央に穴をあけ、そこから頭部を出して着ている」
と記述されてます。イメージ湧くでしょうか。
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