古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

神武天皇の自伝

イツセの雄たけび

神武天皇の自伝 10 ナガスネビコの軍勢に奇襲を受けた我々は、命からがら船に戻り、艦隊を出港させた。 この戦いで兄イツセは腕に敵軍の矢を受けていた。 「兄上、しっかり」 わたしは矢を抜き、イツセの傷の手当てをするが、しかし出血が多い。大丈夫だろう…

白肩津に上陸するが・・

神武天皇の自伝 9 こうしてサオネツヒコの案内で、潮の流れのはやい速吸門を艦隊は無事に通り抜けていった。 艦隊はさらに東に進み、浪速の岬から河内の湖に入っていった。艦隊は河内の湖の奥、白肩津に停泊した。 ここからは陸路となる。我々はここから東側…

亀に乗った男

神武天皇の自伝 8 我々は高島宮を出港し、東に向かっていた。 風は順調、追い風の乗って艦隊は進んでいた。 そんなあるとき・・・ 「イツセさま、イワレさま、あれをご覧ください」 従者が船の進む先を指さす。その指した指の先には・・・ 大きな亀がいた・…

吉備に滞在

神武天皇の自伝 7 我々の艦隊は安芸の国を出港し、瀬戸内海を西に進んでいた。 そして吉備の国に至り、ここに上陸した。 われわれはここでも歓迎を受け、吉備の国人が用意してくれた高島宮に滞在することになった。 我々が宮に入った翌日、この地の長老が我…

安芸に滞在

神武天皇の自伝 6 岡田宮を出港した艦隊は、瀬戸内海を西へ西へと進んでいく。 そして安芸の国に入った。補給のため、我々は安芸の国に上陸した。 そこは深い森だった・・・既に一日も終わろうとしていて日も暮れかけ、あたりは薄暗くなっている。 薄暗い中…

岡田宮に滞在

神武天皇の自伝 5 宇佐を出港した我々の艦隊は、そのまま九州の東岸を北上し、筑紫の国に入った。ここは瀬戸内と玄界灘の境にある海上交通の要所である。 我々は休養・補給とともに、東征への足掛かりとしてこの地を抑えておこうと考えていた。 そこは豪族の…

宇佐に上陸

神武天皇の自伝 4 日向の美々津を出港した我々は、九州の沿岸沿いに北上していった。順調に艦隊は進み、豊国(とよのくに)の宇佐に至った。 我々は補給と休憩のために宇佐の港に入港した。 宇佐の港に入港した我々は大歓迎を受けた。そしてこの土地を支配す…

出港

神武天皇の自伝 3 その年の10月のある日、わたしと兄イツセの兄弟と、わたしたちの従者側近、それに高千穂宮の軍勢が日向の美々津港に集まった。これから日向から東国に遷都すべく、艦隊を組んで出港し海を東に向かう。 出港の前日、我々は港のそばに航海の…

ゴー・イースト

神武天皇の自伝 2 その日もわたしは高千穂宮で、兄イツセと政務について話し合っていた。 その時、イツセが言った。 「最近、日本の国で、我々の命令が届かないことが増えてきたな・・・」 わたしは答えていった。 「そうですね・・・東国では高千穂宮の目…

神武天皇の自伝 プロローグ

神武天皇の自伝 1 わたしの名はイワレ。日向の国、高千穂宮で生まれた。 わたしの父はウガヤフキアエズ。日の神アマテラスの子孫である。 日向の地に降臨した天孫二ニギから数えて三代目となる。 わたしから見て曽祖父となる二ニギの代から、祖父ホオリ、父…