古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

垂仁天皇

但馬に流れ着く朝鮮王子

不思議な赤い玉を持った男は、新羅の王子アメノヒボコに捕らえられた。 王子は尋問する 「お前のような賎しいものが、こんな立派な牛を持っているわけがない。どこで盗んできた!」 「盗んだなんて、そんなことはありません!わたしは村々の田で働く人たちの…

赤い玉を産んだ朝鮮娘

さて、ときじくのかぐの木の実を日本に持ち帰ったタヂマモリ。彼は朝鮮、新羅の王子を祖先としている。 昔、新羅の国の、ある沼のほとりで、一人の娘が休んでいた。すると陽の光が虹のようにその娘の陰部に差し込んだ。そして、娘は妊娠してしまったのだ。 …

ときじくのかぐの木の実

また、天皇は臣下のタヂマモリを、常世の国、すなわち海外の遠い国に派遣させた。「ときじくのかぐの木実」を探索させたのである。 タヂマモリは朝鮮新羅の王子を祖先に持つだけあって、当時の国際情勢には明るかったのだ。 「ときじくのかぐの木実」は不老…

アマテラスを祀る

また、天皇はその治世、様々な出来事において神を祀る重要さを感じていた。 先帝である父の崇神天皇は、オオモノヌシの神を祀って疫病をしずめた。それ以来、世の平安を神に祈る重要さを感じ取り、何かにつけて天地の神をよく祀っていたのである。 そんな父…

埴輪を立てよ

天皇が愛した皇后ヒバスヒメが亡くなった。 天皇が悲しみの日々を過ごす中、皇后の御陵も完成した。いよいよ葬儀を行い、ヒバスヒメと最後の別れをしようとしていた時のことだった。 天皇の心に引っ掛かっていたのは、弟ヤマトヒコの葬儀の時に聞いた、亡者…

ヤマトヒコと殉葬

また、垂仁天皇の同母の弟、ヤマトヒコが亡くなった時のことである。 当時は主君が死ぬと、その臣下の者も生きたまま墓に埋められる、殉葬が習わしであった。死後も永遠に主君に仕えるようにと、家来の者はみな一緒に埋められていたのだった。 ヤマトヒコの…

悲劇、再び

ところで、ホムチワケの母親、サホヒメ。天皇に反乱を起こした兄のサホビコに殉じて死んだが、天王は最後までサホビメを取り戻そうとしていた。サホビメは死ぬ間際、次の皇后にミチノウシの娘を指名していた。 天皇はサホビコを攻め落としたあと、サホビメの…

蛇が追ってくる!

言葉が話せるようになったホムチワケは、ヒナガヒメと一夜を共にした。 そしてその翌朝・・・ ホムチワケの横には、ヒナガヒメが寝ている。 ホムチワケは先に目を覚まし、旭日の光に照らされたヒナガヒメを抱き寄せた。 そこには美しい少女がいるはず・・・…

ヒナガヒメと出会う

言葉を話せるようになったホムチワケ。出雲のキヒサツミから献上された料理がとても気に入り、その後しばらく出雲にとどまっていた。 そんなある日、ホムチワケは斐伊川のほとりを散歩していた。すると、川辺に立っている美しい少女に出会った。 ホムチワケ…

ホムチワケが話す

出雲の大神に参拝したホムチワケの一行は、斐伊川のほとりに仮宮を建てて滞在していた。 そこに、出雲国造の祖であるキヒサツミがホムチワケに拝謁に訪れた。 キヒサツミはホムチワケを歓迎し、斐伊川の川下に青葉で飾り物を建て、料理を献上した。 ホムチワ…

出雲で祈る

こうして、ホムチワケとその一行は連れ立って出雲へ向かって行った。 出雲に到着した一行は、早速、オオクニヌシの大神のもとに参拝すべく、神殿に向かって行った。 そこは、オオクニヌシが日本の国を天の神に譲る条件として建てられた、壮大な神殿であった…

出雲に向かう

フトマニの占いの結果を聞いた天皇は、早速ホムチワケを出雲に向かわせることにした。 さらに天皇はホムチワケの従者に誰を副えて遣わせばよいか占わせた。結果は「アケタツを副えて向かわせよ」というものだった。 そこで天皇はアケタツにうけい(誓約)を…

オオクニヌシ、再び

白鳥を見ても、ホムチワケは言葉を発することは無かった。天皇は息子が離さないことに心を痛めていた。 そんな折、天皇が寝ているときに、夢の中に一人の神が現れていった。 「そなたの御子が言葉を話さないのは、わたしの神祟である。私は昔、神殿を建てて…

白鳥は飛んでいく

サホビメの忘れ形見となった天皇の御子、ホムチワケ。天皇は愛情をもって育てていた。 尾張に二股に分かれた珍しい杉があると聞くと、わざわざその杉を取ってこさせて二股に分かれた小舟を造り、それを大和の池に浮かべて御子を連れて遊んだ。 しかしそのホ…

サホビメとサホビコの最期

天皇は御子とともに后のサホビメも取り返す目論見だったが、その策略はサホビメに見抜かれていた。兵士は御子だけを取り、サホビメの奪還には失敗した。 天皇は意を決し、軍勢の最前線まで出てきた。 「サホ!聞こえてるか!出てきてくれ!」 天皇は叫ぶ。 …

天皇の計略 VS サホビメの知恵

天皇は、生まれた子もサホビメも一緒に自分のもとに取り戻す魂胆だった。 天皇は兵士の中から力が強く、なおかつ身軽で敏捷な者を集めた。そして彼らに命じた。 「御子を受け取るときに、同時に母親も一緒に連れてこい。髪であろうが手であろうが、とにかく…

天皇、攻撃をためらう

サホビメは宮中を抜けだし、サホビコの屋敷へ入っていった。 その報は、サホビコの屋敷に向けて進軍していた天皇にも入った。 「なに・・・サホビメが屋敷の中に・・・子供もみごもっているだと・・・」 天皇は困惑した。 兄サホビコは天皇を暗殺しようとし…

サホビメ、兄のもとに向かう

自分を暗殺しようとしたサホビコを討つべく、天皇は自ら軍勢を率いてサホビコの屋敷に向かっていた。 一方、サホビコにも、天皇暗殺に失敗したとの報は入っていた。すでにサホビコは天皇の軍が攻めてくることを見越していた。サホビコも軍勢を集め、屋敷の周…

サホビコの討伐に向かう

サホビメから話を聞いた天皇は 「そうか・・・あやうくだまされるところだった・・」 と言った。 サホビメは震えながらひれ伏していた。 未遂とはいっても天皇に刃を向けたのだ。この場で殺されても仕方ないほどの大罪だ。 しかし天皇は、やさしくサホビメに…

サホビメの話

わたしの兄のサホビコが、私に向かって訊いたのです。自分と陛下と、どちらを愛しているか、と。 あまりにも突然なことでした。 兄が目の前にいるものですから、私は思わず、お兄様のほうを愛しています、と答えました。 すると兄は 「ならば自分とお前と、…

垂仁天皇と皇后サホビメ

崇神天皇の崩御後は、その御子イクメイリビコが皇位を継いだ。第11代の垂仁天皇である。 天皇は后のサホビメを寵愛していた。その日も天皇はサホビメの膝枕で、安らかな気持ちで昼寝をしていた。 すると、何を思ったのか・・・サホビメは短刀を取り出した。…