古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

国譲りの神話

国譲り、完結

タケミカヅチが出雲の国に戻ると、オオクニヌシはまだ海岸に立っていた。 タケミカヅチはオオクニヌシに向かって言う 「そなたの子らは日本の国を天の御子に献上するといった。そなたの心はどうか?」 既にオオクニヌシの気持ちは固まっていた。 「私の二人…

タケミナカタ、降参する

オオクニヌシはもう一人の息子のほうを振り返り、言った 「タケミナカタ、お前はどう考える?」 しかしタケミナカタと呼ばれた神は、そこには居なかった。 彼はというと、波打ち際のタケミカヅチのほうに向かって歩いていた。 どこから持ってきたのか、両手…

コトシロヌシの答え

オオクニヌシが息子の一人に向かって言った 「コトシロヌシ、お前はどう思う」 コトシロヌシと呼ばれた神はと言うと、その表情は青ざめ、震えていた。 無理もない、コトシロヌシは気が弱く、オオクニヌシのもと文官として仕えていたのだ。タケミカヅチの恐ろ…

タケミカヅチとオオクニヌシ

タケミカヅチとアマノトリフネはそろって出雲の国、伊耶佐の小浜に降り立った。早速アマノトリフネはオオクニヌシを呼び出しに行った。 もはや、ホヒやワカヒコのようなじれったいことはしない。 オオクニヌシに会うと 「アマテラス大御神の使者としてタケミ…

タケミカヅチを派遣

ここは高天原。たびたびオオクニヌシの支配する日本に使者を出し統治権を譲渡させようとするが、使者はことごとくオオクニヌシのもとに寝返って失敗してしまう。アマテラスの焦燥感たるやピークに達していた。 アマテラスは天の安川に八百万の神々を集めた。…

ワカヒコの葬儀に現れたのは

タカミムスビが投げ返した矢はワカヒコの胸を貫いた。妻のシタテルヒメが泣く声は風に乗って高天原まで届き、高天原の神々はワカヒコの死を知った。 ワカヒコの死は父のクニタマとその妻も知ることとなった。父神と母神は嘆き悲しみ、日本の国へ降りていって…

矢が飛んできた!

ワカヒコはナキメに狙いを定め、弓を引く。そして射った。 ひゅー とうなりをたてて矢は飛んでいく。そしてナキメに命中した。 ケーン!! 甲高い叫び声をあげてナキメは木から落ちた。 矢はナキメを貫いて遥かかなたに飛んで行った。 ワカヒコが射った矢は…

ナキメ、啼く

雉の女神ナキメは天から日本に降りていった。 ナキメは空から日本の国を見渡し、ワカヒコの屋敷を見つけるとそこを目指して降りていった。 ナキメは屋敷の入り口にあった桂の木の枝にとまり、啼いた。 その声は 「ワカヒコ、そなたを日本に遣わしたのは、日…

雉のナキメが遣わされる

ワカヒコも8年もの間帰ってこない。 しびれを切らしたアマテラスとタカミムスビは、三度、八百万の神を集めていった。 「葦原の中つ国を今支配しているオオクニヌシを教え諭し、国を私のもとに取り戻すために派遣したホヒに続き、ワカヒコも帰ってきません。…

ワカヒコの葛藤

ワカヒコはシタテルヒメをオオクニヌシの屋敷まで送り届けた。オオクニヌシはワカヒコに感謝し、歓迎した。しばらくワカヒコはオオクニヌシの屋敷に滞在することになった。 ワカヒコは熱心にシタテルヒメの看病を行い、シタテルヒメは感謝で答えた。やがてそ…

ワカヒコ、シタテルヒメと出会う

ワカヒコは出雲の国に降り立ち、歩いていた。 「さあ、どのようにして、オオクニヌシと国譲りの交渉をしたものか・・・」 なにしろ日本の国はオオクニヌシの尽力で栄え、発展しているのだ。しかもオオクニヌシは出雲を救ったスサノオの直系である。 いくら日…

ワカヒコの派遣

ここは高天原。 ホヒが高天原から地上に降り、3年の月日が経った。 タカミムスビとアマテラスは焦っていた。何しろ、この3年という間、ホヒからは何の報告もないのだ。 タカミムスビとアマテラスは、再び天の安川に八百万の神を集めた。 アマテラスが厳かに…

ホヒ、寝返る

早速スサノオとの誓約で誕生した、アマテラスの御子五柱の男神の次男、ホヒが高天原から地上のオオクニヌシのもとに派遣された。 しかし、ホヒの足取りは重かった。 天の浮橋から地上に向かう道すがら、ホヒは考えていた。 ・・・果たして絶大な権力を持ち、…

神々を集める

オシホミミの報告を受けアマテラスとタカミムスビは、天の安川の河原に、高天原に居る八百万の神を集めさせた。 アマテラスは八百万の神の前で言った。 「葦が豊かに茂る日本の国は、太陽神であるわたしの血筋の神が本来統治すべき国です。しかし今、オオク…

オシホミミ、帰る

オシホミミは従者とともに、天の浮橋に立って地上を見つめていた。ここから見下ろすと、地上の日本のことが手に取るようによくわかる。 日本の国は、オオクニヌシのもと栄えていた。それだけではない、オオクニヌシは民の人心もつかんでおり、日本の国はオオ…

アマテラス、焦る

さて、ここは高天原。太陽神アマテラスは、日本の国を見下ろしていた。 日本は清らかな水に恵まれ、葦が茂り千年先までも稲穂が実る豊かな国である。 しかし、その実りは太陽が大地を照らしてこそである。太陽神アマテラスは、この日本の国は当然自分の子孫…