古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

古事記上巻

木の国から根の国へ

ここは木の国。オオアナムヂはオオヤビコの屋敷に滞在していた。まさか、ここまで異母兄たちが出雲の国から追ってくることは無いだろう。オオヤビコもオオアナムヂもすっかり安心していた。 しかし、それは甘かった。異母兄たちの執念深さは半端なかったのだ…

オオヤビコのもとへ

状況を理解したオオアナムヂは、母神に言った。 「お母様、また助けてもらったのですね。ありがとうございます」 母神は心配そうに言う。 「オオアナムヂ、無事でよかった。でも、このままだといずれ、異母兄たちに殺されてしまうわね・・・このまま、お逃げ…

母神、また助ける

オオアナムヂが生き返ったということを聞き、異母兄たちは驚愕した。 「おい、オオアナムヂが生き返ったそうだぞ!」 「なんでも、オオアナムヂの母親が高天原のカミムスビ様に泣きついて生き返らしたそうだ」 「だけど、これはやばいぞ」 「ああ、オオアナ…

オオアナムヂ、生き返る

オオナムチの母・サシクニワカヒメは、出雲の国でオオアナムヂが死んだという悲報を聞いた。母神は居ても立ってもいられず、いそいでオオアナムヂを探しに出かけた。そして、伯耆の国で全身に熱傷を負い、大岩に潰されて無残に殺されたオオアナムヂを見つけ…

オオアナムヂ、死す

オオアナムヂの異母兄たちははかりごとをした。よからぬはかりごとである。もちろん、オオアナムヂを陥れようとする策略を練ったのである。 そして、オオアナムヂを誘い出す。 「おい、オオアナムヂ!」 「あれ?兄さん、どうしたんですか?こんな朝早くから…

異母兄たちの求婚

こちらは因幡の国。 オオアナムヂの異母兄たちは、先を争うようにしてヤガミヒメに求婚した。 しかし、うさぎの言う通り成功しない。 その異母兄たちの一人がヤガミヒメに聞いた。 「姫様、なぜ我々の誰とも結婚しないのですか。我々はみんな、英雄スサノオ…

うさぎ、予言する

オオアナムヂは元に戻ったうさぎを見て、笑顔で言った 「良かったね、きれいにけがは治ったよ」 「ありがとうございました。あのう・・・ところであなた様、もしかして、オオアナムヂさまではありませんか?」 「え?そうだけど、うさぎくん。どうして知って…

白うさぎに戻る

話を聞いたオオアナムヂは、ふうーとため息を漏らした。 「その神というのは、先に通ったぼくの兄さんたちだよ。海を渡るためにわにをだまそうなんて、よくないことを考えたね。でも、わにたちも、皮ごとはいでしまうとはひどいもんだ。兄さんたちも、苦しん…

うさぎが泣いていた

こうしてオオアナムヂは一人とぼとぼと歩いていき、因幡の気多岬に来た時だった。ふとそこに泣き声が聞こえた。 オオアナムヂはその声がするほうにいってみた。そこには皮を剥がれて血だらけになったうさぎが泣いていた。 オオアナムヂはびっくりしていった …

オオアナムヂの登場

スサノオの活躍から数百年の時が過ぎた。 出雲から因幡へ続く海岸を、一人の神が歩いていた。大きな袋を担ぎ、とぼとぼと歩いていた。この神は名をオオアナムヂと言い、スサノオから数えて6代目の子孫であった。 オオアナムヂには大勢の異母兄がいた。 とこ…

八雲立つ

こうしてヤマタのおろちを退治したスサノオは、村人たちの祝福の中でクシナダヒメと結婚した。 スサノオの名声は出雲の国中に響いた。スサノオはいつしか出雲の国を治めるようになっていた。 ある日、出雲の統治者となったスサノオは、いつものように馬に乗…

草薙剣

スサノオは屋敷の戸を開け、言った 「おい、終わったぞ!」 アシナヅチとテナヅチはその言葉に表に出てきた。そして血だらけでズタズタになっているおろちを見て息をのんだ。 スサノオは頭に差した櫛を取ると、ふっと息をかけた。するとそこには何事もなかっ…

スサノオ、ヤマタのおろちを退治する

準備は整った。 「それでは、皆さんは家に帰って、家の戸をしっかり締めておいてください」 スサノオは村人に呼びかけ、村人は各々の家に帰っていった。 「さあ、これでよし。アシナヅチさん、テナヅチさんも、家の中に入って、戸をしっかり締めとくんだよ」…

酒を用意し垣根を造る

「よし、それでは早速、おろち退治の準備にかかろう。クシナダヒメ!」 「はい・・・」 「ちょっと失礼」 スサノオはクシナダヒメに近づくと、ひょいと抱き上げた。そしてフッと息を吹きかけた。すると不思議、クシナダヒメの体は一本の櫛に変わったのだ。ス…

スサノオ、求婚する

スサノオは力強い声で言った。 「よし、安心しな、俺に任せろ。この俺がヤマタのおろちとやらをやっつけてやる」 「え・・・」 「ところで・・・きれいなお嬢さんだね。クシナダヒメと言ったね。どうだろう、アシナヅチさん、お嬢さんを俺の嫁にもらえないだ…

スサノオ、老夫婦と娘に出会う

既に夜は更けている。 斐伊川の上流に向かって歩いていたスサノオは、一軒の家にともる灯りを見つけた。 大きな屋敷だった。この地のムラオサだろうか。 スサノオはその灯りに向かっていった。 その家についてみると、三人の人が家の中に座っているのが見え…

スサノオ、箸を拾う

イザナギから勘当され、高天原からは追放され、オオゲツヒメまで殺してしまったスサノオは、あてもなく出雲の国をさまよっていた。 出雲を流れる斐伊川のほとりまで来た。すでに夕日は沈みかけていた。 スサノオはこの先の当てもなく、疲れ果てて、呆然と斐…

スサノオ、追放される

アマテラスが岩屋から出てきて、世界には光が戻った。 しかしアマテラスが岩屋にこもるようになったのは、そもそもスサノオが乱暴を働いたからなのだ。スサノオをこのままにしておくわけにはいかない。 スサノオは既に神々の手により捕らえられていた。 神々…

光が戻る

ここはアマテラスがこもる天の岩屋の前。太占にも使った桜の薪がうずたかく積まれていた。その周りを八百万の神々が取り囲む。 踊りの神・ウズメは岩戸の前に桶を伏せてスタンバイしていた。その衣装はカズラをたすき掛けに身にまとっただけで、体のほとんど…

オモイカネの妙案

アマテラスが天の岩屋にこもり、真っ暗になってしまった世の中。このまま放っておくわけにもいかない。 八百万の神々は、天の安川の河原に集まり相談した。しかし、なかなか良い考えは浮かんでこない。そこでオモイカネに一任することにした。オモイカネは造…

アマテラス、引きこもる

アマテラスは何とも言えない気持ちだった。 スサノオに対する怒り、落胆、失望・・・すべてがアマテラスの心に重くのしかかっていた。 そしてアマテラスは、天の岩屋の戸を開いてに入り、そこにこもってしまった。 日の神アマテラスが岩戸の中にこもってしま…

スサノオ、暴れる

しかしその途端、スサノオは本性を出し、再び暴れだした。 アマテラスの神田の畔を壊し、水路を埋めた。また、アマテラスが祈りをささげる祭壇に糞をまき散らしたりした。 八百万の神々は、アマテラスのもとにやってきては、口々にスサノオを追放するよう訴…

うけいの結果は?

次にスサノオが口を開く 「じゃ、俺は姉さんが着けている玉をもらおうか」 アマテラスは自らの髪と両腕につけていた5つの勾玉を外し、スサノオに渡す。スサノオも天真名井の湧水ですすいでから、口に含み、ふーっと息を噴出した。息は霧のように広がり、5人…

3人の女神が産まれる

こうして、アマテラスとスサノオは互いに子を産むことになった。現代的な感覚で言うと奇妙だが、まあ神のことである。この二人だってイザナギの左目と鼻から生まれてきたのだから、一人で子を産むなんて簡単なことだろう。 二人は高天原の真ん中を流れている…

スサノオとアマテラス、向かい合う

そこに、スサノオがやってきた。 アマテラスは一歩前に出る。土けむりは淡雪のように舞い、足が地面にめり込むほどの勢いだ。 アマテラスから口を開いた。 「スサノオ、何しに来た、答えろ!」 アマテラスが問う。いや、問うというよりも、ほとんど雄たけび…

スサノオ、天に昇る

イザナギの神殿を追い出されて、スサノオは荒々しく歩いていた。 「よし、それじゃ俺の望み通り、お母様に会いに根の国に行くぞ・・・でもその前に高天原の姉さんに別れの挨拶しとこうか」 そうかんがえたスサノオは、高天原に昇って行った。 とにかく乱暴に…

スサノオ、泣きわめく

数年の時が経った。 アマテラスとツクヨミは父神の指示通り、それざれの世界を統治している。 しかし、スサノオだけは海に行くことは無かった。いつまでも泣いていた。それも、尋常でない大きな声で泣き叫んでいるのである。 スサノオはもともと武勇の神であ…

三貴神の誕生

既に夜明は近い。 イザナギは禊の仕上げをするために、再び川の浅瀬に戻ってきた。 イザナギはそこで左の目を洗う。パッと周りが明るく光り輝いた。 そこには一人の女神が立っていた。アマテラスの誕生である。 次に右の目を洗う。今度は辺りが柔らかな光に…

禊から生まれる神々

川にはいったイザナギ、身に当たる川の流れが心地よい。 イザナギが投げ捨てたものから神が産まれた。民を穢れの無い世界に導く道の神である。 また落ちた穢れからも神が生まれた。民を穢れから守る神である。 身を清めるために、川の深みに移る。そこからさ…

イザナギ、禊をする

イザナギは筑紫の島、日向の橘の小戸の阿波木原にきていた。すでに日は暮れていた。 「ああ、イザナミはもうこの世の神ではないんだ・・・」イザナギはつぶやく。 しかし、彼には日本の国を作る仕事が残っている。いつまでも落ち込んでいるわけにもいかない…