古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

スサノオの自伝

5人の男神が生まれた

つぎはわたしの番である。 わたしはアマテラスに言った 「では姉上、わたしは姉上が身に着けている勾玉をもらいましょうか」 アマテラスは左の髪、右の髪、頭の上、右手、左手から、それぞれ身につけていた勾玉を外すと、わたしに手渡した。 わたしは受け取…

女神を産んだ

こうしてわたしとアマテラスは、互いにうけい(誓約)を行って子を産むこととなった。 「え?なんのこっちゃ?」と思うだろう。確かに人の世となった現代ではありえない。 しかしはるかな昔、神代のことである。やろうと思えば男だろうが女だろうが、単独で…

うけい

「スサノオ!何しに来たのです!?答えなさい!」 姉のアマテラスは鬼気迫る迫力で尋ねる。いや、訪ねるというよりも、雄たけびだ・・ さしものわたしも、たじたじとなって答えた。 「姉上!・・・わたしは曲がった心は持っておりません! 父の大神に、母の…

高天原へ昇る

父神に勘当されたわたしは、地上から高天原に向かって、天の浮橋を登っていた。 母の国に行く前に、姉のアマテラスにお別れの挨拶をしようと思ったのである。 わたしは天の浮橋をずんずん上っていった。そして、上り切って高天原に着いたとき・・ わたしは姉…

父神との決別

その日もわたしは母の姿を思い浮かべては泣いていた。 すると、突然そこに父神のイザナギがやってきたのだ。 「お前はなぜ海に行かずに泣いてばかりいる!お前のその泣き声で山は枯れ、川も海も干上がってしまった。それだけではない、邪神がその声に呼び寄…

わたしは泣いていた

わたしは父神から、海原を統治するよう命ぜられた。 しかし私は、あまり気が乗らなかった。 別に海原の統治を行うのが嫌だったわけではない。 父に対する反抗心とでもいおうか・・ 父が決めた通りにするのが嫌だったのだ。 姉と兄は、父に命ぜられた通り、す…

スサノオの自伝 プロローグ

わたしの名はスサノオ ある日、気が付けば、九州のとある川の、河原で生まれていた。その時の様子・・今思い出しても、不思議な感覚がする。 それは、夜明の河原だった。ふと気が付くと、目の前に父のイザナギがいた。そしてわたしの横には、先に生まれた姉…