古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

宴席で・・・

ヤマトタケルの自伝 6 わたしは女装して、新築祝いの準備のために屋敷に出入りする下男下女にまぎれこんで、クマソタケルの兄弟の屋敷に忍び込むことに成功した。 そして、その夜・・・ 屋敷の一室では、新築祝いの宴がにぎやかに開かれていた。 上座にはク…

屋敷に潜入

ヤマトタケルの自伝 5 マソタケルの兄弟の討伐の命クを父の天皇から受けたわたしは、伊勢に立ち寄り叔母のヤマトヒメから着物を借りて、西国に向かっていた。 さて、クマソタケルが住む地、九州の熊襲まで長い旅の末たどり着いた。クマソタケルの屋敷を訪ね…

ヤマトヒメから

ヤマトタケルの自伝 4 わたしは伊勢に来ていた。そして叔母のヤマトヒメを訪ねていった。 ヤマトヒメは伊勢神宮の斎宮としてアマテラス大御神に仕えている。 「伯母上、お久しぶりです」 「あら、オウス!しばらく見ない間に大きくなったわね!元気してた?…

ねぎ教え諭せ

ヤマトタケルの自伝 3 父の天皇から兄のオオウスに、朝夕の食膳への参列について「ねぎ教え諭しなさい」(丁寧に教え諭しなさい)と言われた翌朝。 わたしは夜のうちに兄オオウスの屋敷に忍び込み、便所の陰に隠れ、朝になるのをまった。 そして、朝になった…

兄のオオウス

ヤマトタケルの自伝 2 わたしはその日、父の天皇(すめらみこと)に呼ばれた。そしてこう言われたのだ。 「そなたの兄のオオウスが朝夕の食膳の席に出てこないのはどういうことだろう。朝夕の食膳は神に供える大事な儀式だというのに・・・」 そう、兄のオオ…

ヤマトタケルの自伝 プロローグ

ヤマトタケルの自伝 1 わたしの名はヤマトタケル。 もっともヤマトタケルというのは成人してからの名で、幼少期はオウスと呼ばれていた。 わたしはオオタラシヒコの天皇(すめらみこと)の皇子として生まれた。父のオオタラシヒコは初代神武天皇から続く第12…