古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

伊勢の地に

野見宿祢の自伝 23 アマテラス大御神の御魂はヤマトヒメさまに託された。ヤマトヒメさまは大御神の魂の鎮まるところを求めて各地を旅していた。 ヤマトヒメさまからは逐次、状況について便りが届いていた。 ヤマトヒメさまは宇陀の筱幡(ささはた)に一旦落…

アマテラスを祀る

野見宿祢の自伝 22 ホムチワケさまも言葉をしゃべれるようになり宮中が落ち着いてから、数年がたったある日のことである。 わたしは陛下に呼ばれ、御前に進み出た。すると陛下は 「先帝の崇神天皇は賢く聡明な聖帝であった。とても慎み深く、良き政治を行い…

ヒナガヒメの正体は・・・

野見宿祢の自伝 21 「ホムチワケは大和の宮殿に帰っている。ノミもすぐ帰れ」と陛下から勅使が届いた。 ホムチワケさまは我々に何も告げることなくおひとりで大和に帰ったのか・・・何故・・・わたしは訳が分からなかった。 とにかくその日のうちにわたしは…

ホムチワケさまがいない!

野見宿祢の自伝 20 さて、ホムチワケさまが言葉を話せるようになり、そのことを大和に急使を立てて知らせた翌日。 その日、ホムチワケさまは少数の従者だけを連れて散歩に出かけていた。わたしは斐伊川の仮宮にとどまり、オオクニヌシの神殿の建て替えや今後…

しゃべった!!

野見宿祢の自伝 19 わたしはホムチワケさまのお供をして、わたしの故郷である出雲の国に来ていた。 「父上、お久しぶりです。大和のほうから伝令が来て、話は承っております」 出迎えてくれたのは、わたしの息子であり、わたしの後を継いで出雲国造を務めて…

出雲へ旅立つ

野見宿祢の自伝 18 わたしはホムチワケさまの伴として出雲に向かうことになった。 しかし、陛下は申されたのだ。 「果たして本当にオオクニヌシの大神を拝むと、ホムチワケが話せるようになるのか・・・今一度、占いで確かめよう」 そして陛下の命により朝廷…

再び出雲へ

野見宿祢の自伝 17 「陛下の夢に出てきた神は、出雲に鎮座されますオオクニヌシの大神でございます」 占い師は言った。 「出雲・・・というと、ノミ、そなたの出身地だな。そなたが出雲国造を退いて上京してからは、息子のキイサツミが後を継いでオオクニヌ…

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☆古事記を小説風に書き直してみました。 ☆古事記を基本としつつ、話によっては日本書紀や風土記のエピソードも取り入れながら構成しています。 ☆わたしは古代史好きの素人であり、学者でも専門家でもありません。ネットで調べ調しながら書いており、また皆様…

宮を修理せよ

野見宿祢の自伝 16 白鳥を見ても、ホムチワケさまが言葉を発することはなかった。 陛下は大変落胆されていた。 そんなある日のこと、わたしは陛下に呼ばれた。 御前に出ると、陛下は 「ノミ、占いの準備をしてくれ」 と仰せになる。 「占い・・・でございま…

白鳥は飛んで行く

野見宿祢の自伝 15 それまで一言の言葉も話さなかったホムチワケさまは、空を飛ぶ白鳥を見て「ああ・・ああ・・」と仰せになった。 これを聞いた陛下は、大変な喜びようだった。 「おい、ノミ!聞いたか!ホムチワケがしゃべったぞ!」 「はい、確かに・・・…