古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

四道将軍

オオビコの自伝 8 疫病が鎮まってから時がたった。 ある日、わたしは陛下の命により、御前に召された。 わたしだけではなかった。息子のタケヌナカワも一緒に召されたのだ。我ら親子は何事かと陛下の宮殿に向かった。 すると、宮殿にはヒコイマスとキビツヒ…

ヤマトトモモソヒメ

オオビコの自伝 7 「オオモノヌシと言えば、ヤマトトモモソヒメも絡んでいたな・・」 陛下が言われる。 ヤマトトモモソヒメと言えば、陛下の先々代、第8代孝元天皇の異母妹である。すなわち陛下から見れば大叔母、わたしから見れば叔母である。 「さようでご…

三輪山の神

オオビコの自伝 6 国を襲っていた疫病は収まり、日本の国は平安な日々を送っていた。 そんなある日、陛下は疫病を鎮めるのに功績があったオオタタネコを呼び出した。 「オオタタネコ、ご苦労だった。おかげで疫病も鎮まり、国民は穏やかに日々を過ごしている…

神を祀る

オオビコの自伝 5 疫病を鎮めるため、オタタネコを神官としてオオモノヌシの大神を祀ることになった。 オオタタネコはオオモノヌシの大神が鎮座される三輪山に詰め、日夜オオモノヌシの大神に祈り、拝み祭っていた。 ちょうどそのころ、神牀(かむどこ)に寝…

美努村にいた!

オオビコの自伝 4 わたしは陛下の命に従い、四方に調査隊を派遣してオオタタネコという人物を探させた。 そしてほどなく報告が入ってきた。河内の美努村(みのむら)にオオタタネコという人物が見つかたというのである。 わたしはさっそく、陛下の名において…

神牀の夢

オオビコの自伝 3 わたしが仕える天皇陛下は、神牀(かむどこ)で見た夢について話し始めた。 陛下は夢の中で、とある場所の海岸に立っていた。すると海のかなたから、光り輝く神が姿を現し、だんだん近づいてきて浜辺に立つ陛下のそばまで来たそうだ。 「あ…

オオタタネコを探せ

オオビコの自伝 2 ある日、わたしは天皇陛下に呼ばれ、宮中に参上した。 そして陛下から 「オオビコ、人を探し出してほしい。オオタタネコという名の人物だ」 と告げられた。 「・・・オオタタネコ・・・ですか?」 「ああ、そいつが今はやっている疫病を鎮…

オオビコの自伝 プロローグ

オオビコの自伝 1 わたしの名はオオビコ。天皇(すめらみこと)に仕える軍人である。 我が主君である今上天皇陛下の御名はミマキイリヒコという。皇室初代である神武天皇から数えて10代目の天皇である。 わたしの父は皇室8代目の孝元天皇である。わたしは孝…